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iPS細胞で遺伝性血管性浮腫(HAE)の病態を再現、新たな治療法へ

関西医科大学は6月11日、遺伝性血管性浮腫(HAE)患者由来iPS細胞(人工多能性幹細胞)を樹立し、肝細胞様細胞へ分化させることで、疾患の主要な分子病態を再現することに成功したと発表しました。

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、主に遺伝子の変異によって引き起こされる希少疾患です。炎症などを抑える役割を持つC1インヒビターというタンパク質が不足したり機能が低下したりすることで、全身の皮膚や粘膜に急激かつ反復性の腫れが生じます。特に喉に腫れが生じた場合は、致命的な窒息を招く危険性があります。

C1インヒビターは主に肝臓の細胞で作られますが、患者さんから直接肝臓の組織を採取する肝生検は重篤な急性発作を誘発する危険性が高く、実施が極めて困難でした。さらに、これまでの細胞や動物を使ったモデルでは、ヒト特有の遺伝子変異や生体内の環境を完全に再現できないという課題がありました。

今回、研究チームは、2名のHAE患者さんの血液からiPS細胞を作り出し、肝臓の細胞に似た細胞へと変化させるモデルを構築し、作製された細胞を詳細に解析した結果、変異したC1インヒビタータンパク質が正常な立体構造を作れず、タンパク質の合成などを担う小胞体と呼ばれる細胞内の器官に異常に蓄積し、凝集していることが確認されました。また、治療薬として用いられることがある男性ホルモンのアンドロゲンを投与した結果、細胞内に蓄積した異常なタンパク質が減少し、C1インヒビターの働きが回復することも確認されました。

以上の研究成果により、患者さんの体に負担をかけることなく肝臓の細胞内部の動きを確認できる、ヒト疾患特異評価システムが確立されました。また、異常なタンパク質を分解する機能が新たな治療の標的となる可能性が示されました。確立された細胞モデルは、遺伝性血管性浮腫の病態解明や新しい治療薬の開発のほか、患者さんごとの治療への反応を評価する個別化医療の基盤として貢献することが期待されます。

画像はリリースより

なお、同研究の成果は、「Journal of Allergy and Clinical Immunology」オンライン版に4月29日付で掲載されました。

出典
関西医科大学 プレスリリース

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