成人発症の脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝的要因が明らかに
東京大学と国立精神・神経医療研究センター病院の研究グループは9月28日、成人発症の脊髄性筋萎縮症(SMA)の日本人 8家系を解析し、6 家系で LRP12 遺伝子の CGG リピート伸長を同定したと発表しました。
脊髄性筋萎縮症(SMA、指定難病3)は、筋肉を動かす脊髄の神経細胞(下位運動ニューロン)が障害されることで、進行性の筋力低下や筋萎縮を引き起こす遺伝性神経疾患です。多くは5番染色体上の「SMN1」遺伝子に原因がある「5q SMA」であり、近年は核酸医薬や遺伝子治療薬などの実用化、新生児スクリーニングの導入が進んでいます。一方で、SMN1遺伝子に病的バリアントを認めない「non-5q SMA」は遺伝的に多様であり、成人発症例では原因不明のケースが少なくありません。
今回、研究グループは、既知の関連遺伝子に病因が認められない成人発症non-5q SMAの日本人8家系を対象に解析を実施しました。その結果、6家系において「LRP12遺伝子」にある3塩基配列「CGG」の繰り返し回数が通常より多くなる「CGGリピート伸長」を同定しました。この変化は主に「眼咽頭遠位型ミオパチー(OPDM)」という筋疾患の原因として知られていましたが、成人発症のnon-5q SMAの原因にもなり得ることが明らかになりました。
以上の研究成果により、研究グループは「LRP12関連SMA病型」という新たな病型を提示しました。これまで原因が分からなかった成人発症の下位運動ニューロン疾患に対する遺伝学的診断の選択肢が広がるほか、病態の仕組み解明や将来の治療法開発につながることが期待されています。
なお、同研究の成果は、米国神経学会が発行する学術誌「Neurology Genetics」に掲載されました。
