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小児クローン病の血液診断マーカー、血清ACP353が有用

久留米大学は1月29日、血清ACP353が小児クローン病の診断に有用であることを明らかにしたと発表しました。この成果は、同大医学部小児科学講座の水落建輝講師と久留米大学病院炎症性腸疾患センターの光山慶一教授、株式会社医学生物学研究所を中心とする研究グループによるものです。小児炎症性腸疾患を血液で診断する多施設研究を行い、血清ACP353が小児クローン病の診断に有用であることを明らかにしました。当研究は、過去最大規模で本邦の小児炎症性腸疾患の血液診断マーカーを検討し、その研究成果が2020年1月24日に専門英文誌のJournal of Gastroenterology(オンライン版)に掲載されました。

求められている日本人に合った新規血清マーカーの開発

炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病の2つに大別され、腸などの消化管に炎症が起き、慢性的な下痢や血便、腹痛などの症状を伴う病気の総称です。現在、日本国内には潰瘍性大腸炎とクローン病を合わせて30万人の患者さんがいるとされ、最も多い特定疾患(指定難病)です。
炎症性腸疾患の患者さんは小児でも増えていますが、診断には消化管内視鏡検査が必須のため、体の小さな小児には、検査の負担が大きいという問題があります。クローン病診断の血清マーカーは、anti-Saccharomyces cerevisiae antibodies(ASCA)の有用性が欧米から報告されています。しかし、アジア人でのASCAの感度特異度は、白人と比べると劣るとの報告があり、日本人に合った新規血清マーカーの開発が期待されていました。
光山教授らは、クローン病の血清中に特異的な抗体であるantibodies to Crohn’s disease peptide 353(ACP353)を同定。成人の多施設研究では、クローン病の診断で感度63%、特異度91%であることを報告していました。この結果は、ASCAよりも優れたものでしたが小児での報告はありませんでした。
また、血清抗体「anti-glycoprotein 2 antibodies(GP-2)」とASCAの小児クローン病診断における有用性が欧米から報告されていますが、本邦の小児クローン病で検討した報告はありませんでした。

ACP353、ASCA、GP-2の小児での有用性を比較検討

今回、研究グループは、ACP353、ASCA、GP-2の日本人小児クローン病診断における有用性を比較検討。共同研究12施設を受診した16歳以下の小児でクローン病、潰瘍性大腸炎、その他腸疾患、健常の4群に分けて血清を採取しました。採取した血清は、医学生物学研究所が開発した手法(ELISA)でACP353を測定。加えて、GP-2とASCAも測定し、比較しました。
最終解析対象は、クローン病 120例、潰瘍性大腸炎 148例、その他腸疾患 56例、健常 43例の計367例。その結果、ACP353の値(中央値U/ml)は、クローン病が2.25であったのに対し、潰瘍性大腸炎で1.1、その他腸疾患で1.1、健常で1.1と、より有意に高いことが分かりました(全てP<0.001)。
これらの結果から、ACP353は日本の小児クローン病診断の血清マーカーとしてGP-2やASCAより有用であったと研究グループは結論付けています。今後の展望として、「本邦における小児クローン病の血液診断マーカーの開発につながり、体の小さな小児に負担の少ない方法で診断が可能になることが期待される」と述べています。

出典元
久留米大学 研究成果

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