特発性肺線維症(IPF)と進行性肺線維症(PPF)の新たな治療薬「ジャスケイド錠」を発売
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は7月15日、抗線維化作用および免疫調整作用を有する経口のホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害剤であるジャスケイド錠18mgおよび9mg(一般名:ネランドミラスト、以下ジャスケイド錠)を「特発性肺線維症(IPF)」および「進行性肺線維症(PPF)」を適応症として2026年7月15日に発売したと発表しました。
特発性肺線維症(IPF)と進行性肺線維症(PPF)は、肺に線維化した組織が蓄積して元に戻らなくなり、血管から酸素を取り込みにくくなる進行性の疾患です。主な症状として、慢性的な空咳、息切れ、倦怠感、手足の指先が幅広く丸くなるバチ状指などがあり、一度失われた呼吸機能は回復しません。日本における患者数は、特発性肺線維症(IPF)が約1万数千人から3万人、進行性肺線維症(PPF)は5万人未満と推定されています。
ジャスケイド錠は、特発性肺線維症(IPF)患者さんを対象とした臨床試験および進行性肺線維症(PPF)患者さんを対象とした臨床試験の結果に基づき、2026年5月18日に国内での医薬品製造販売承認を取得しました。どちらの試験においても、プラセボ(偽薬)と比較して、52週時点の努力肺活量(呼吸機能の測定指標)の低下を有意に抑え、主要な評価項目を達成しました。また、重要な副次評価項目は達成されなかったものの、2つの試験をあわせた解析において、既存の治療薬を併用せずに本剤の18mgを服用した患者さんでは、プラセボと比較して死亡リスクが59%低下したことが示されています。臨床試験での主な副作用としては、下痢や体重減少が報告されています。副作用の発現率は、特発性肺線維症(IPF)を対象とした試験の18mg群で50.5%、9mg群で44.6%、プラセボ群で35.6%でした。また、進行性肺線維症(PPF)を対象とした試験では18mg群で44.5%、9mg群で38.7%、プラセボ群で32.1%でした。
日本ベーリンガーインゲルハイム 代表取締役 医薬事業ユニット統括社長の荻村正孝氏はプレスリリースにて、「このたび、肺線維症の新しい治療選択肢を患者さんにお届けできるようになったことを大変うれしく思います。患者さんのおよそ半数が診断から5年以内に死亡していることから、多くのがんと同様に致死的な病気とされる一方で、IPF患者では胃腸や肝臓への副作用の懸念から、特に高齢者を中心に患者さんの約3分の1が投薬を受けていません。また、治療を開始した患者さんでも、多くが早期に服用を中止してしまうことで病状の進行リスクにさらされており、新たな治療選択肢の登場が望まれていました。ジャスケイド錠が患者さんに適切に処方・投与されるよう適正使用の推進に努め、肺線維症患者さんのQOL向上に貢献するとともに、今後も患者さんのアンメットニーズに応えるために尽力してまいります」と述べています。
