特発性肺動脈性肺高血圧症で血管を守る分子を発見
東京医科大学と岡山大学の研究グループは9月11日、特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)において肺動脈にかかる高い圧力によって Stanniocalcin-1(STC1)が分泌され、細胞の異常な増殖を抑えることを明らかにしたと発表しました。
特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)は、肺の血管を構成する細胞が異常に増えて血管が狭くなり、肺動脈の血圧が上がる難治性の疾患です。心臓に強い負担がかかり、進行すると心不全などを引き起こします。従来は高い血圧が病気を悪化させると考えられてきましたが、血管細胞が圧力を感知してどのように防御反応を起こすかは分かっていませんでした。
今回、研究グループは、独自の培養システムを用いて患者由来の細胞に圧力を加え、血管細胞が圧力センサーである「PIEZO1」を介して圧力を感知し、「HIF-1α」を通じて「STC1」という分子の産生を増やすことを発見しました。このSTC1は、細胞が増えるプロセスを抑えることで血管の異常な肥厚を抑制します。さらに、モデルマウスを用いた実験では、STC1を欠損させると病態が悪化した一方で、気道からSTC1を投与すると血圧の上昇や血管壁の厚みが改善することが確認されました。

以上の研究成果により、現在の治療では十分な効果が得られない患者さんや、血管拡張薬を使用しにくい患者さんに対する新たな治療法や吸入療法の開発につながると期待されます。
