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ヒト腸内細菌の作る物質が腸炎を改善する2つの仕組みを解明

島根大学と米国ノースカロライナ大学を中心とする国際共同研究チームは9月14日、国内外の大学・研究機関・企業と共同で、健康な人の腸内から分離したクロストリジア菌群による腸炎改善効果とその作用機序を、複数のマウス腸炎モデルと培養実験で解析したと発表しました。

潰瘍性大腸炎(指定難病97)やクローン病(指定難病96)といった炎症性腸疾患(IBD)は国の指定難病であり、その病態には大腸菌やクレブシエラ、フソバクテリウムなどの腸炎関連菌が増加する腸内細菌叢の乱れが関与しています。従来、クロストリジア菌群は腸炎の発症を予防することが知られていましたが、すでに発症した腸炎に対する治療効果や詳細な仕組みは分かっていませんでした。

今回、研究チームが腸炎を発症したマウスにクロストリジア菌群を投与したところ、腸炎関連菌が減少して炎症が改善することが確認されました。解析の結果、同菌群が生成するトリプトファン由来のインドール類が、腸炎関連菌の増殖を直接抑えることが判明しました。さらに、インドール類は腸管の免疫やバリア機能を調節する受容体であるAhR(芳香族炭化水素受容体)を活性化させることも明らかになりました。これにより、同菌群は腸内細菌叢を整える作用と、AhRを介して宿主の免疫を調節する作用という2つの経路で腸炎を改善することが示されました。

画像はリリースより

本研究で解析された菌群をもとに開発され、軽症から中等症の潰瘍性大腸炎患者を対象に行われた生菌製剤VE202の国際第2相臨床試験では、新たな安全性上の懸念は認められなかったものの、全体での臨床的有効性は確認されませんでした。研究チームは、免疫抑制治療で炎症を制御した後の寛解維持や既存治療との併用など、適切な位置づけを検討する必要があるとしています。

なお、同研究の成果は、「Cell Host & Microbe」オンライン版に8月26日付で掲載されました。

出典
島根大学 プレスリリース

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