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先天性下垂体機能低下症の症例における新たな遺伝子変異を同定

国立成育医療研究センター分子内分泌研究部をはじめとする研究チームは、先天性下垂体機能低下症の一種である複合型下垂体機能低下症を伴う中隔視神経異形成症の症例において、新たな遺伝子変異を同定したと報告しました。今回同定されたSMCHD1遺伝子は一部の筋ジストロフィーを引き起こす原因遺伝子としても知られています。

下垂体-体内の内分泌を司る脳器官

下垂体は脳内にある8mm(小指の先端くらい)の大きさの器官で、成長ホルモンをはじめ副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、抗利尿ホルモンなど、様々な臓器に対してホルモンを分泌する非常に重要な働きを持ちます。機能欠損する下垂体のホルモンが1つの場合は単独下垂体ホルモン欠損と呼び、複数のホルモンが分泌低下している場合は複合型下垂体機能低下症と呼びます。下垂体は多くの働きがあるので、障害を受けるホルモンによって現れる症状も様々です。

先天性下垂体機能低下症で見つかった遺伝子変異

先天性の下垂体機能低下症患者の多くは、眼や脳が異常な形に形成される場合があります。今回の研究で同定されたSMCHD1遺伝子は、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーや無鼻小眼球症候群の原因遺伝子としても知られます。74症例の先天性下垂体機能異常症例を対象に SMCHD1遺伝子を解析した結果、中隔視神経異形成症の1症例でミスセンス変異(p.Asp398Asn)が見つかりました。この遺伝子変異が見つかった患者では鼻や眼の構造が正常で、筋力の低下はみられなかったとのことです。

出典元
国立成育医療研究センター

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