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球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の女性保因者にも軽度の症状があることが判明

名古屋大学は10月27日、神経難病の球脊髄性筋萎縮症(SBMA)について、その女性保因者と男性早期患者を詳細に検討した結果、女性保因者にも軽度の症状があることやその病態が主に神経原性変化に基づくものであることを解明したと発表しました。

この成果は、同大大学院医学系研究科神経内科学の勝野雅央教授、鳥居良太客員研究者(筆頭研究者)、同・臨床研究教育学の橋詰淳講師ら共同研究グループによるもので、米科学雑誌「Neurology」に掲載されました。

球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、成人に発症するX連鎖性の遺伝形式をとる神経難病で、脳の一部や脊髄の運動神経に障害が起こり、喋りにくい、飲み込みづらい、手の震えなどの症状が現れます。球脊髄性筋萎縮症(SBMA)患者さんの多くは、筋力低下の出現の10年以上前から手の震えや有痛性筋けいれんが現れることがわかっています。

その発症には男性ホルモンの一種であるテストステロンが強く関わっています。その分泌が非常に少ない女性には通常症状が出ないと考えられることから、男性のみに発症し、男性と同じ遺伝子変異を持っている女性(女性保因者)は病気を発症しません。

今回の研究では、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の女性保因者を詳細に診察。同年代の健常者と比較検討した結果、女性保因者では、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の前駆症状として知られる有痛性けいれんを経験している割合が有意に高く、また手の震えの割合も高い傾向があることがわかりました。

画像はリリースより

また、複数の電気生理学的検査の結果では、神経原性変化を示す所見が得られましたが、筋原性の変化はみられませんでした。一方で球脊髄性筋萎縮症(SBMA)患者さんでは、早期患者でもそれらの神経原性変化に加えて、血清クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇など、筋原性変化を示す結果が認められたそうです。

研究グループはプレスリリースにて、「今後は、筋力低下がない、もしくは前駆症状も目立たない男性患者を検討の対象に加え、SBMAの早期病態をより詳細に解明していきたいと考えております」と述べています。

出典
名古屋大学 プレスリリース

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