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遅発型ポンぺ病に対し開発中の酵素補充療法剤による臨床的意義のある症状改善を報告

サノフィ(フランス パリ)は2020年6月16日(現地時間)、遅発型ポンぺ病に対する酵素補充療法剤として開発中のavalglucosidase alfaが、臨床試験において意義のある呼吸障害および運動性の改善をもたらしたことを発表しました。治験薬により標準治療と比較し努力性肺活量(%FVC)が2.4ポイント改善し、6分間の歩行試験において歩行距離が30メートル延長しました。ポンペ病はライソゾームと呼ばれる細胞小器官においてグリコーゲンが代謝されずに蓄積していく進行性の疾患です。発症時期や症状により乳児型と遅発型に大別され、遅発型ポンペ病は小児期から成人後にも発症がみられます。

代謝酵素の機能不全による進行性の筋障害

ポンペ病は酸性α-グリコシダーゼ(GAA)の遺伝子の働きが弱いか、または働きが無いためにグリコーゲンが筋肉細胞内のライソゾームに蓄積されていき、細胞内を圧迫するために筋疾患として症状が現れます。ポンぺ病はライソゾーム病の一種に含まれる希少疾患であり、日本ではライソゾーム病として指定難病および小児慢性特定疾病にも指定されています。世界的に見るとポンぺ病の患者は約5万人いると推定されており、乳児期から成人まで幅広い年齢で発症する可能性があります。筋肉が障害を受けることから主な症状は呼吸器機能の低下と運動機能の低下です。徐々に筋力低下が進行していき人工呼吸器の装着や車椅子の使用が必要になります。

avalglucosidase alfaによる 臨床上意義のある症状改善

酵素補充療法は、欠損または働きの低下がみられる酸性α-グルコシダーゼの代わりに酵素を体外から補充することを目的とした治療法です。現在開発が進められているavalglucosidase alfaは、特に骨格筋をはじめとする筋肉内に効率よく酵素を届けられるよう設計されています。現在の標準治療で使用されるアルグルコシダーゼアルファに比べ-マンノース-6-リン酸が約15倍多く含まれ、細胞内への取り込み向上が期待されています。本試験では呼吸筋機能の変化に着目して試験が勧められています。avalglucosidase alfaを投与した患者は、標準治療を受けた患者に比べ%FVC(努力性肺活量)が2.4ポイント改善し、さらに6分間の歩行試験による運動性の評価では歩行距離が30メートル延長しました。しかし現在までのところ標準治療に対しavalglucosidase alfa投与による統計学的な有意差は示されていません。

サノフィのグローバル研究開発担当ヘッドのJohn Reedは、次のように述べています。

avalglucosidase alfaの投与により、ポンペ病の標準的な評価項目である呼吸機能と運動性の両方において臨床上意義ある改善が認められ、嬉しく感じています。今回の試験結果により、avalglucosidase alfaをポンペ病の新たな標準治療薬として確立させるという私たちの目標に向けた歩みがまた一歩進みました

John Reed, M.D., Ph.D.

出典元
サノフィプレスリリース

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