1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. 誰にでもチャンスがある社会を。日高和泰さん|重症筋無力症(MG)

誰にでもチャンスがある社会を。日高和泰さん|重症筋無力症(MG)


今回は40歳で重症筋無力症を発症し、現在は障がい者のキャリアアップを支援するベンチャー企業で社員として活躍されている日高和泰さんを取材させて頂きました。

これまでの経緯

  • 2003年 劇団立ち上げ
  • 2018年 作業療法士に転職
  • 2022年 重症筋無力症発症
  • 2024年 再就職

劇団立ち上げ

こんにちは。日高和泰と申します。

2022年の5月に重症筋無力症を発症し、今は障がい者の方のキャリアアップを支援する事業を行うベンチャー企業の正社員としてフルリモートで働かせてもらっています。

その他、医療系任意団体の代表として活動したり、ショート動画制作チームの運営に携わっています。

20代から劇団を立ち上げ、劇団の運営と芝居をやっていました。

その他にも、テレビ・ラジオ・マネージャー業・ナレーションのお仕事など幅広い分野でお仕事をさせていただいていました。

劇団運営時にご縁があって、アスペルガー症候群の方を劇団に迎え入れる機会がありました。
当時、高校生で不登校だった子が劇団を卒業した後、夜間の大学に行って演劇を続けていました。

劇団を通して人とのコミュニケーションや距離感が分かるようになり、変化しているのを目の当たりにし、「こういうの面白いな」と思ったんです。

劇団やっててよかったなと思った瞬間の一つです。

また、劇団時代の友人が精神科の作業療法士でした。

その子が、劇団の稽古の風景を見て、「仕事で使える!」と劇団のプログラムを全部メモしていたんです。

劇団と作業療法士ってつながるところがあるんだなと思いました。

作業療法士に

紆余曲折あり、28歳のときに劇団を辞める決断をしました。

今後、どうしていこうかと迷いました。

もともと、独立したいという思いがあったため、自分の中では行政書士か作業療法士の2択で考えていました。

悩みましたが、劇団の時の経験から、作業療法士の方の言葉も思い返し、作業療法士として頑張ろうと決断しました。

そのために専門学校に入って勉強を始めましたが、2年目に入り、読んでいた本に、「日本では作業療法士に開業権がない」と書いてあり、作業療法士は開業できないと初めて知りました。

びっくりしましたね。

40歳で重症筋無力症発症

5月に右目の瞼が下がっていることに気づきました。

前の週が忙しかったので、疲れてるのかなと思い、それほど気にしなかったんですけど、無意識のうちに左右の瞼が違っていたんです。

それに妻が気づいてくれて、自分でも鏡を見たときに、眉毛の位置が全然違っていて、これは何かおかしいなと思いました。

最初は、眼瞼下垂かなと思って形成外科に行きました。

そこでは、予想通り、眼瞼下垂という診断を受けました。

手術することになったのですが、手術中に「眼瞼下垂の所見ではない」と、手術が中止になりました。

執刀してくれた病院の理事長から脳神経科の病院を紹介してもらって、血液検査など、諸々の検査をした結果、重症筋無力症(MG)と診断されました。

実は僕の父親が重症筋無力症(MG)で、手術もして、胸腺を切っていることを知っていました。

そのため、重症筋無力症(MG)は自分にとっては割と身近な病気でした。

想像していた部分もあったので、診断されたときは、「そっか」と意外と落ち着いた感じでしたね。

重症筋無力症の認知を向上させたい

重症筋無力症は誤診が多いそうです。

僕が調べた中では、体が怠いと症状を訴えた10代の少女が、内科の先生に精神的なものじゃないかと診断されていました。

しかし、重症筋無力症は精神系の薬と非常に相性が悪いのです。
ひどい時は薬が原因で呼吸が止まったりします。

そういった誤診がなくなるように、重症筋無力症の認知を向上させ、適切な検査が行われるようになるといいなと思っています。

今の目標

一つは、今の仕事を通して社会に貢献したいです。

同じ難病で仕事につけなくて本当に困っている人へ、就労のきっかけやチャンスをあげたい!

病気になったら家に引っ込まなくてはいけなくなるのは、ある程度は仕方のないことですが、それだけで終わる人生はつまらない。

出来ることが限られる中で、少しでも選択肢を増やすお手伝いができればいいのかなと思っています。

僕自身が学びで人生を好転させたので、誰にでもチャンスはあると信じています。

二つめは、医療系任意団体「君がため」の法人化です。

作業療法士として病院で勤務していたとき、家に帰りたいと言っていたにも関わらず、叶わないまま亡くなる方を数多く見送ってきました。

いろいろな社会的理由もあるんですが、一番は「誰も見てくれる人がいない」でした。

それってとても辛いことですよね。

僕も難病を患っており、どうなるかわかりません。

どんなに健康でも、人はいつか死にます。

だから今ある健康をしっかり守ってほしい。
そして、せめて死ぬ場所は自分で選びたい。

今後、より大きな活動が出来るよう、法人化に向けてクラウドファンディングを企画しています。

小さな動きかもしれませんが、応援よろしくお願いします。

関連記事