手の画像から病気を発見するAIモデルを開発
神戸大学は2月27日、外見異常認識には、プライバシーへの慎重な配慮が必要であることに着想し、指紋や手相が見えない形での「手の画像」から疾患を拾い上げるAIモデルの開発に成功したと発表しました。
先端巨大症は、顔や手足など体の先端部分がゆっくりと肥大する疾患です。主に脳の下垂体腫瘍から成長ホルモンが過剰に分泌されることが原因とされています。病気の進行が遅いため、本人や家族も気づきにくく、希少疾患であることから診断までに10年以上かかることも珍しくありません。発見が遅れて未治療の状況が続くと、糖尿病や高血圧などの様々な合併症を引き起こし、寿命が10年ほど短くなることが知られています。

近年、顔写真から先端巨大症の診断を支援する人工知能の研究は世界で行われてきました。しかし、個人を特定できる顔画像はプライバシーの懸念が大きく、日常的な検査で使うにはハードルが高いという課題がありました。今回、研究グループは、患者さんの約9割に見られる手の変化に着目し、手であれば個人を特定しにくくプライバシーに配慮できるという発想から、新たな診断モデルの開発に取り組みました。
同研究では、18歳以上の成人患者さんを対象に、各専門施設で先端巨大症と診断された317人と、そうではない対照群399人から、手の甲と握りこぶしの画像を合計1万1480枚集め、深層学習モデルを用いて解析した結果、病気の人を見逃さない割合を示す感度が89%、病気ではない人を誤って陽性としない割合を示す特異度が91%となり、経験豊富な内分泌専門医を上回る診断能力を達成しました。


今回開発された人工知能モデルは、健康診断や人間ドックにおいて写真を数枚撮るだけで病気の疑いを拾い上げるツールとして活用されることが見込まれています。さらに将来的には、スマートフォンアプリを通じて一般の人が自宅で自己チェックできる仕組みへの応用も視野に入れられています。研究グループは今後、関節リウマチや貧血といった他の疾患に対しても、手の異常から病気を発見するモデルの開発を進めていく予定です。
なお、同研究の成果は、全米内分泌学会学術誌「The Journal of Clinical Endocrinology&Metabolism」オンライン版に2月27日付で掲載されました。
