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希少疾患の創薬標的分子を予測するAIを開発

名古屋大学は4月16日、ゲノムワイド関連解析(GWAS)とトランスクリプトームワイド関連解析(TWAS)の融合により、任意の疾患の病態メカニズムを反映した疾患遺伝子発現プロファイル(TRESOR)を構築したと発表しました。

創薬標的分子の同定は医薬品開発の最初の過程ですが、不適切な標的分子を選択すると臨床試験の成功率が低下するという課題があります。特に、患者数が少ない希少疾患や病態メカニズムが複雑な難治性疾患では、創薬標的分子の枯渇が深刻な問題となっています。

今回、研究グループは、ゲノムワイド関連解析(GWAS)とトランスクリプトームワイド関連解析(TWAS)の融合により、疾患遺伝子発現プロファイル(TRESOR)を構築しました 。GWASは疾患の感受性遺伝子(疾患のリスクを高める遺伝子で、多くは遺伝子変異を持つ )を同定するのに有用ですが、疾患の病態メカニズムの理解には限界があります 。一方、TWASはゲノムの変異に影響を受けた遺伝子発現パターンの変化を推定できるため、疾患の病態メカニズムの解明に有用です。研究グループはこの2つの解析方法を融合することで、より詳細な疾患の情報を得ることが可能になると考えたといいます。

画像はリリースより

このAIを用いて284疾患のゲノム情報とトランスクリプトーム情報の横断解析を行った結果、治療効果につながる阻害標的分子と活性化標的分子を見出すことに成功しました 。また、希少疾患に対して新規に予測された創薬標的分子について、大規模な疾患コホートデータを用いて有効性を確認しました。

画像はリリースより

今回の研究で開発されたAIは、創薬標的分子が未知の希少疾患や難治性疾患に対して、新たな治療法の提案や医薬品開発につながることが期待されるといいます。

なお、同研究の成果は、「Nature Communications」に4月18日付で掲載されました。

出典
名古屋大学 プレスリリース

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