ロシュ社が脊髄性筋萎縮症の運動機能の改善等を示すデータを発表
ロシュ社は2~25歳のII型または歩行不能なIII型の脊髄性筋萎縮症(SMA 指定難病3)の患者を対象にリスジプラムを評価した、国際共同試験における2年間のデータを発表しました。この2年間の成績において、リスジプラム投与により主要評価項目とする運動機能の改善および維持が認められました。
脊髄性筋萎縮症(SMA)は運動ニューロンが障害され、徐々に筋肉がやせ細っていく遺伝性疾患です。発症年齢と重症度によってI型~IV型に分類され、乳児期に発症するI型が最も重症で首が座らず体幹も動かせません。II型は乳児期から幼児期に、III型は幼児期から小児期に、IV型は成人期に発症します。II型およびIII型は未治療のままだと運動機能が低下していきます。
Evrysdi™(リスジプラム)は経口投与により全身の運動神経細胞生存(SMN)タンパク質を増加させるように設計された開発中の薬剤です。母親と父親由来のSMN遺伝子がどちらも変異している場合にSMAを発症します。リスジプラムはSMN2遺伝子から機能的なSMNタンパク質の産生が増えるよう作られており、2020年にはアメリカで承認を取得しました。
今回の発表は、先立って行われた試験におけるリスジプラムを投与した群(120名)、またはプラセボ投与後にリスジプラムを投与した群(60名、プラセボを12カ月間投与後、リスジプラムを12カ月間投与)に対して、投与後24カ月時点の運動機能および日常生活への影響評価を基に行われました。試験の結果、MFM-32評価における運動機能の改善は投与後12か月から24か月目にかけて維持されました。