【中国】進行型多発性硬化症に伴う黄斑損傷に対するイブジラストの特許を承認
メディシノバ社は1月17日、イブジラスト(MN-166)による進行型多発性硬化症(進行型MS)に伴う黄斑損傷を適応として出願中の特許に対して、中国特許庁から承認通知を受領したと発表しました。
多発性硬化症は、中枢神経の自己免疫疾患であり、脳や脊髄、視神経などに病巣ができ、視力障害、運動障害、感覚障害、認知症、排尿障害などのさまざまな神経症状が現れます。多発性硬化症の患者さんのほとんどが、健康状態が徐々に悪化する二次進行型多発性硬化症へ進行します。現在の多発性硬化症の治療法は、炎症反応に対処するものですが、神経変性または脳組織の修復に対する効果は限られており、神経保護作用を持つ薬剤へのニーズが存在すると考えられます。
イブジラストは、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4及び-10の阻害剤で、炎症促進作用のあるサイトカイン、IL-1β、TNF-a、IL-6などを阻害する働きを有するファースト・イン・クラスの経口摂取可能な小分子化合物です。
今回承認された特許は、イブジラストによる眼科領域での神経変性疾患・神経障害・神経損傷の治療法に対するもので、特に進行型多発性硬化症に伴う黄斑損傷の治療を対象としています。イブジラストを投与することで、進行型多発性硬化症(一次性、二次性の双方を含む)に伴う、黄斑部網膜内層厚の減少を抑制する治療法をカバーしています。剤型としては、錠剤、カプセル、顆粒、細粒及び液体の経口投与を対象とし、イブジラストの投与量と投与頻度を幅広くカバーしています。特許期間は少なくとも2040年4月までです。
メディシノバ社取締役兼CMO(最高医学責任者)の松田和子氏は「MN-166の眼科神経変性疾患・神経障害に対する治療効果の可能性は、過去に緑内障動物モデル試験及び網膜損傷モデル試験での良好なデータにより実証されていました。また、MN-166の進行性多発性硬化症を対象としたSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験におけるOCT(Optical Coherence Tomography;光干渉断層計)の良好な結果をご報告していますが、すべてのOCT測定で、MN-166はプラセボに比べて網膜組織の菲薄化を抑制することが示されています。既に同様の特許が米国及びヨーロッパで承認されておりますが、今回新たに中国でも本特許が承認されたことにより、MN-166の潜在的な価値を更に高めることができると考えており、本特許が承認されたことを嬉しく思います」と述べています。