1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. 【米国】慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の成人患者さんに対する維持療法としてHYQVIAがFDAより承認を取得

【米国】慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の成人患者さんに対する維持療法としてHYQVIAがFDAより承認を取得

武田薬品工業株式会社は1月17日、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんにおける神経筋障害および機能障害の再発予防の維持療法として、HYQVIA(遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注用人免疫グロブリン製剤10%)が1月16日付で米国食品医薬品局(FDA)により承認されたと発表しました。

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)は、末梢神経に炎症が起こることにより、2カ月以上にわたり進行性または再発性の経過で手足に力が入らない、しびれるなどといった症状が現れる神経筋疾患です。他の希少な神経筋病態と症状が似ているため、誤診される場合もあります。

これまで、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの治療における免疫グロブリンの作用機構は完全には解明されていませんが、免疫調節作用が関与していると考えられています。現在、維持療法としての静注用人免疫グロブリン製剤療法が慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の標準治療として確立していますが、静注用人免疫グロブリン製剤療法は、高用量の免疫グロブリンを投与することから、投与時間が長くなること、静脈確保の難しさや、投与環境の制限などから患者さんの負担になる場合があります。

HYQVIAは、免疫グロブリンとヒアルロニダーゼの組合せ製剤であり、皮下注用免疫グロブリン製剤です。ヒアルロニダーゼ成分により、皮膚と筋肉の間の皮下組織における大量の免疫グロブリンの拡散と吸収が促進されるため、成人患者さんでは、HYQVIAを最長で1か月に1回(2、3または4週ごと)の間隔で投与ができます。HYQVIAは皮下投与のため、医療従事者が医療機関または患者さんの自宅で投与することが可能です。また、適切なトレーニングを受けた後、患者さんや介護者が自己注射することもできます。

今回の承認は、成人の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんにおける維持療法としてのHYQVIAの有効性と安全性を評価した無作為化プラセボ対照二重盲検試験(ADVANCE-CIDP1)と単群非盲検継続試験(ADVANCE-CIDP3)の結果に基づいたものです。

同試験の結果、HYQVIA群の再発率は14%であり、プラセボ群の32.3%と比較して統計学的に有意な差が示され、HYQVIAは慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の再発予防においてプラセボより優れていることが証明されました。

また、安全性として2つの臨床試験では、被験者の5%以上に、局所反応、頭痛、発熱、悪心、疲労、紅斑、そう痒症、リパーゼ増加、腹痛、背部痛、四肢痛などの副作用が見られました。

武田薬品工業のプラズマ デライブド セラピーズ ビジネスユニットのプレジデントであるジャイルズ・プラットフォード氏は「希少な神経免疫疾患および神経筋疾患に関する当社の専門知識を基盤とする、CIDPに対するHYQVIAのFDA承認により、当社は当該疾患に罹患する成人患者さんに対して、個別化された維持療法の選択肢を提供できるようになりました。研究および臨床経験から、IG療法はCIDPの成人患者さんの維持療法として有効であることが示されています。当社は、複雑な神経免疫疾患に罹患する多くの患者さんに、当社の幅広く多様なIGポートフォリオをお届けするために努力しており、今後もHYQVIAの承認が世界中で広まることを願っています」と述べています。

なお、2023年12月、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんを対象とし、静注用人免疫グロブリン製剤による療法で安定した後の維持療法としてのHYQVIAの承認を推奨したことを発表しました。HYQVIAは、米国で、成人の性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんの維持療法として、使用できる予定です。

出典
武田薬品工業株式会社 プレスリリース

関連記事