農薬関連化合物からアミロイドーシス治療薬の候補となる化合物を発見
富山大学は1月14日、農薬関連化合物の中から希少難病アミロイドーシス治療薬の候補となる化合物を発見したと発表しました。
アミロイドーシスは、アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が臓器に沈着することで機能障害を起こす病気です。血漿タンパク質トランスサイレチン(TTR) アミロイドーシスは、TTR がアミロイド線維に変化し、末梢神経、心臓、眼などに沈着して障害を引き起こします。現在、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(ATTRv アミロイドーシス)の治療薬としてタファミジス(製品名:ビンダケル)が使用されていますが、より多くの患者に対応するため、新たな治療薬の開発が強く望まれています。
近年、農薬の安全性向上が進み、毒物として分類される農薬の数は減少しているといいます。研究グループは、農薬関連化合物のスクリーニングを行うことで、新たなアミロイドーシス治療薬を発見できる可能性があると考え、651種類の農薬関連化合物を対象にコンピューターシミュレーションを実施。TTR アミロイド線維形成を阻害する可能性のある 14 種類の候補化合物を選定しました。
その後の実験的評価により、7 種類の化合物がアミロイド性V30M-TTR 変異体のアミロイド線維形成を効果的に阻害することを発見。特に、除草剤成分であるアイオキシニルやアクロニフェンは、TTR のアミロイド線維形成を効果的に阻害しました。これらの化合物が存在する場合、TTRのアミロイド線維凝集が抑制されることが明らかとなりました。
以上の研究成果より、TTR アミロイドーシス治療薬の候補化合物として、アイオキシニルおよびアクロニフェンが発見されました。これらの化合物は、タファミジスと比較して優れた特徴を持つことが明らかになり、希少難病アミロイドーシス治療薬としての可能性が示されたとしています。
なお、同研究の成果は、「Journal of Medicinal Chemistry」オンライン版に1月6日付で掲載されました。