アミロイド病の新たな治療薬として新規ベンズブロマロン誘導体が有望か
富山大学は5月7日、国指定難病であるアミロイド病の新たな治療薬へと応用可能な化合物の創製に成功したと発表しました。
アミロイド病（アミロイドーシス）は、トランスサイレチン（TTR）などが特定の条件下、あるいは遺伝的要因によって不溶性アミロイド線維を形成し、末梢神経・心臓・眼などに沈着して重篤な機能障害を引き起こすと発症します。
TTRの95％は肝臓で合成されるため、肝臓移植が有効な治療法ですが、ドナー不足が大きな問題となっています。現在、治療に使用されているビンダケル（一般名：タファミジス）は、病気の進行を十分に抑制できない場合があるため、タファミジスよりも効果の高い新たな治療薬の開発が望まれています。
研究グループは2023年に、尿酸排泄促進薬であるベンズブロマロンとベンジオダロンが血漿中のTTRに対して特異的に結合し、良好なアミロイド線維形成阻害効果を示すことを明らかにしました。
今回、研究グループは、ベンズブロマロンを基盤とした新規化合物の設計およびその合成研究を実施。約50種類の新規ベンズブロマロン誘導体を化学合成した結果、アミロイド線維形成阻害効果が強い化合物の創製に成功しました。また、合成した誘導体間での化学構造を比較したところ、活性を示すために必須となる部分構造を特定することにも成功しました。
さらに、開発した化合物がTTRに対して特異的に結合するか調査しました。その結果、ヒト血漿中のTTRに対して選択的かつ強力な結合力を示すことが実証されました。
以上の研究成果より、今回開発した新規ベンズブロマロン誘導体は、アミロイド病の新たな治療薬として有望であると言えます。現在、使用されているタファミジスよりも効果の高い治療薬となる可能性が期待されるといいます。
富山大学はプレスリリースにて、「今後は開発した化合物のアミロイド病治療薬としての有効性について臨床研究を通して検証していきたいと考えています」と述べています。
なお、同研究の成果は、米国化学会誌「Journal of Medicinal Chemistry」オンライン版に3月26日付で掲載されました。
