【欧州】SOD1遺伝子変異を有する成人の筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬QALSODY、欧州委員会の承認を取得
バイオジェン・ジャパン株式会社は5月30日、スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)遺伝子変異を有する成人の筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬QALSODY(一般名:トフェルセン)について、欧州委員会(EC)がオーファン指定下で特例的な状況下で販売承認したと発表しました。
筋萎縮性側索硬化症(指定難病2)は、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々にやせて力がなくなっていく疾患です。
QALSODYは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対し、遺伝的原因を標的とする治療薬として欧州連合(EU)で初めて承認された医薬品です。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)で、SOD1タンパク質の生成を抑制するためにSOD1 mRNAに結合するように設計されています。
今回の承認は、対象とする作用機序、バイオマーカー及び臨床データを含むエビデンス全体に基づくものです。
無作為化二重盲検プラセボ対照第III相VALOR試験(108例)を実施し、患者さんを2:1の割合で無作為に割り付け、QALSODY100mg(72例)又はプラセボ(36例)を24週間投与しました。筋萎縮性側索硬化症(ALS)機能評価スケール改訂版総スコアのベースラインから28週までの変化量を主要有効性評価項目とした結果、トフェルセン群が数値的に優れていたものの、統計学的な有意差は示しませんでした(ITT集団:トフェルセンのプラセボ群との調整済平均値の差[95%信頼区間]は1.4[-1.3、4.1])。
28週時点で、軸索損傷及び神経変性のマーカーである血漿ニューロフィラメント軽鎖(NfL)の平均値が、トフェルセン群(ITT)では55%低下し(ベースラインに対する幾何平均比)、プラセボ群では12%増加しました(プラセボに対するトフェルセンの幾何平均比の差は60%[95%信頼区間]51%、67%)。
副作用においては、QALSODYの投与を受けた被験者で最も多く発現したものは、疼痛(背部痛、腕や脚の痛み)、疲労感、筋肉痛、関節痛、発熱、脳脊髄液中に生じるタンパク質や白血球の増加でした。
バイオジェンの神経筋疾患開発部門の責任者であるStephanie Fradette(Pharm D)氏はプレスリリースにて、「欧州委員会によるQALSODYの承認は、新しい治療薬を世に出すべく20年以上にわたって共に取り組んできたALS患者さんやそのご家族、研究者、臨床医、支援者の皆さんといったALSコミュニティへのゆるぎない献身の証です。SOD1-ALSと共に生きる方々にできるだけ速やかにQALSODYをお届けできるよう、医学界や各国の規制当局と協力していきます」と述べています。
また、同社は、「バイオジェンは欧州で本治療の適用となる患者さんが治療にアクセスできるよう、あらゆるステークホルダーと密に調整を図ってまいります。バイオジェンの早期アクセスプログラム(EAP)を通じて、EU内18カ国330名のSOD1-ALSの患者さんが本治療を受けました。QALSODYは米国で既に承認されて使用されており、その他の地域においても各国の規制当局との検討が継続中です」と述べています。