【欧州】中等症から重症の活動性クローン病に対する初のIL-23選択的阻害剤としてリサンキズマブを欧州委員会が承認
米アッヴィ社は11月23日、スキリージ(以下リサンキズマブ、静脈内投与(IV)による寛解導入療法時用600mg、および皮下投与(SC)による維持療法時用量360mg)について既存治療または生物学的製剤で効果不十分、効果減弱または不耐容であった中等症から重症の活動性クローン病(CD)を有する成人患者さんの治療を適応とする、初めてのインターロイキン-23(IL-23)選択的阻害剤として欧州委員会(EC)の承認を得たと発表しました。
クローン病は、炎症性腸疾患のひとつで、消化管に炎症が起こることにより、下痢や腹痛などの症状が現れる疾患で、さまざまな合併症を引き起こす可能性もあります。その症状や兆候は予測不能なため、患者さんは精神的や経済的、また、身体的に大きな負担となることがあります。
アッヴィ社のsenior vice president兼research and development, chief scientific officerのThomas Hudson, M.D.はプレスリリースにて「腹痛や排便回数の多さといったクローン病の消耗性症状に苦しむ患者さんはまだ多く存在します。だからこそ私たちは、こうした患者さんへの貢献に取り組んでいます。EUにおけるスキリージの承認は、IBDポートフォリオ拡大に向けた私たちの活動における重要なマイルストーンです」と述べています。
今回の承認取得は、3つの国際共同第III相試験プログラム(ADVANCE寛解導入療法試験、MOTIVATE寛解導入療法試験、FORTIFY維持療法試験)の結果に基づくものです。寛解導入療法試験において、12週時に臨床的寛解、内視鏡的改善、粘膜治癒および内視鏡的寛解を達成した患者さんの割合は、プラセボ群と比較してリサンキズマブ群で有意に高い結果が出たそうです。また、52週時に臨床的寛解および内視鏡的改善を達成した患者さんの割合は、リサンキズマブによる維持療法で有意に高い結果が出たとしています。
これらの3つの試験において、新たな安全性のリスクは認められなかったといいます。リサンキズマブ群で特に多く認められた有害事象は、ADVANCE試験では頭痛、鼻咽頭炎、疲労、MOTIVATE試験で特に多く認められた有害事象は、頭痛、関節痛、鼻咽頭炎、FORTIFY試験で、特に多く認められた有害事象はクローン病増悪、鼻咽頭炎、関節痛でした。
ベルギーのルーヴェン大学病院消化器・肝臓内科(Department of Gastroenterology and Hepatology, University Hospitals Leuven, Belgium)のMarc Ferrante, M.D., Ph.D.はプレスリリースにて「日々の症状の管理だけでなく、臨床的寛解および内視鏡的改善・寛解が ローン病治療の重要な目標です。研究の進歩により、患者さんは粘膜治癒など、これまでよりも高い治療目標を目指せるようになっています。中等症から重症のクローン病を対象とした最初のIL-23阻害剤としてのスキリージの承認は、患者さんの健康目標に対応できる治療選択肢の提供に向けた重要な1歩です」と述べています。