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TAFRO症状を伴う特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD-TAFRO)の国際診断基準を策定

岡山大学は7月29日、TAFRO症状を伴う特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD-TAFRO)の国際診断基準を欧米の研究者と策定したと発表しました。

この成果は、同大医学部医学科非常勤講師の西村義人医師、岡山大学病院病理診断科の西村碧フィリーズ医師、学術研究院保健学域の佐藤康晴教授らの研究グループによるもので、7月15日付で米国学術雑誌「American Journal of Hematology」にオンラインで早期公開されました。

特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD)は、原因不明の全身性の炎症性疾患。共通した組織像を示す疾患をまとめた概念であり、均一な疾患単位ではないと考えられています。iMCDには、臨床的にTAFRO症状を伴うタイプ(iMCD-TAFRO)と、TAFRO症状を伴わないタイプ(iMCD-NOS)を含む、少なくとも2つのタイプがあると考えられています。

画像はリリースより

TAFRO症状とは、血小板減少(Thrombocytopenia)、胸腹水の貯留(Anasarca)、発熱(Fever)、骨髄細網線維症または腎機能障害(Reticulin fibrosis or Renal insufficiency)、臓器腫大(Organomegaly)を指し、これらの頭文字に由来します。

iMCD-TAFROは、急激に全身状態が悪化し、死に至ることもあります。TAFRO症状はiMCD-TAFRO以外にも、悪性腫瘍、膠原病、感染症などでも認められることがあり、治療方針が異なることなどから、これらの疾患を確実に区別する必要があります。こうした背景から、iMCD-TAFROを正確に診断する科学的根拠に基づいた診断基準が求められていました。

佐藤教授ら研究グループは、2016年にiMCD-TAFROの診断基準を提案していました。その後、同疾患に関する新たな知見が蓄積され、世界各地で多くの症例が新たに報告され、今回、インターネット上に公開されているiMCD-TAFROに関する文献を網羅的に調査し、その特徴を再検討し、新たな診断基準を提案。この診断基準は既存の患者データベース(ACCELERATE Natural History Registry)で有用性が検証されたそうです。

研究グループはプレスリリースにて、「この基準が、iMCD-TAFROの診療に携わる世界各国の多くの関係者に広く普及すれば、適切な診断と治療が行われるようになり、この病気で苦しむ方々の役に立つことが期待されます」と述べています。

出典元
岡山大学 プレスリリース

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