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緑黄色野菜に多いスルフォラファンによる炎症誘導性受容体タンパク質の分解メカニズムを解明

九州大学は1月12日、緑黄色野菜に多く含まれるスルフォラファンやイベリンがGタンパク質共役型受容体「P2Y6R」と結合し、細胞内への取り込みと分解を促進することで、炎症を抑制することを明らかにしたと発表しました。

この研究成果は、同大大学院薬学研究院の西田基宏教授(生理学研究所・生命創成探究センター教授兼務)と西山和宏講師、生理学研究所(生命創成探究センター)、東北大学、筑波大学、大阪府立大学、東京工業大学、東京大学との共同研究によるもので、科学誌「Science Signaling」オンライン版に1月11日付で掲載されました。

Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、さまざまな生理機能や疾患形成に関わる膜タンパク質です。研究グループは、これまでにGPCRの1であるプリン作動性受容体「P2Y6R」が加齢依存的に発現増加し、高血圧や心不全の発症に寄与することを報告していました。一方で、クローン病(指定難病96)や潰瘍性大腸炎(指定難病97)など炎症性腸疾患(IBD)の患者さんでもP2Y6Rの発現上昇が報告されていましたが、IBDの病態に対する役割は不明だったそうです。

今回、研究グループはIBDモデルであるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎とP2Y6R欠損マウスを用いた検討を実施。その結果、ブロッコリースプラウトなどの緑黄色野菜に多く含まれる「スルフォラファン」や「イベリン」がP2Y6Rと結合し、細胞内への取り込みと分解を促進することで、炎症を抑制することが判明。P2Y6RがIBDの病態形成の増悪因子であることが明らかになったそうです。

画像はリリースより

細胞の膜表面に存在する受容体タンパク質は、細胞外の物質を感知し、細胞内に情報を伝達する重要な役割を担います。細胞外の核酸を感知するP2Y6Rは、細胞の遊走や貪食を促進する生理機能を有し、その作用の増強によって炎症が増悪します。

研究グループは、スルフォラファンがP2Y6Rタンパク質のシステインと直接結合することで、P2Y6Rを細胞膜から解離し、分解を促すことで抗炎症作用を発揮することを発見。P2Y6Rの細胞内取り込みは、これまで知られていた制御機構とは異なるシステイン酸化に依存した機構で、P2Y6R以外の味覚・嗅覚を司る受容体にも共通する機構であることも明らかにしたといいます。

今回の成果について、研究グループはプレスリリースにて、「薬学研究院では、病気の原因となるタンパク質と直接化学的に結合し、その機能を選択的に阻害する「コバレント創薬」にも取り組んでいます。今回の発見は、心血管病や炎症性腸疾患などの予防・治療薬の開発につながるだけでなく、農学や歯学、環境医学などとの異分野連携・融合にも発展する可能性が期待されます」と述べています。

出典
九州大学 プレスリリース

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