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筋萎縮性側索硬化症モデルマウスに対するヒトMuse細胞静注療法の治療効果

岡山大学と東北大学を中心とする共同研究グループは、筋萎縮性側索硬化症(ALS 指定難病2)疾患モデルマウスにヒト骨髄由来Muse細胞を静脈投与することで運動機能の症状進行抑制効果がみられると示しました。本研究結果よりALSの新規治療法に繋がると期待されています。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は全身の筋肉が痩せていく進行性の難病です。握力の低下や嚥下障害などの症状がみられ、呼吸筋の麻痺から呼吸不全が進行すると人工呼吸器の装着が必要になります。発症メカニズムは解明されておらず、根本的な治療に繋がる治療薬も開発されておらず、新たな治療法の開発が望まれています。一方で、Muse細胞は骨髄、血液、各臓器の結合組織内に広く存在する腫瘍性を持たない多能性幹細胞で、2010年に東北大学の研究グループによって発見されました。点滴投与でも障害部位に集積し、その組織の細胞に分化して修復できることが知られています。臓器や骨髄の移植時に必要とされる白血球型適合(HLA適合)や長期間の免疫抑制剤の仕様の必要がなく長期にわたり生存および機能が維持されると報告されています。

研究チームはまず、ALS疾患モデルマウスに対しヒトの骨髄由来Muse細胞の投与方法として静脈投与が適切であると確認し、さらにMuse細胞が脊髄に遊走できることを確認しました。次に、生後56日以降のモデルマウスに対しヒトMuse細胞静脈投与を1週間に1度連続して10週間投与し、治療効果を検討しました。その結果、運動機能や四肢の筋力、下肢筋力など複数の評価テストにおいて、対照群と比較してMuse細胞投与群は改善傾向がみられました。評価に用いられたモデルマウスにおいて特に損傷の強い腰髄では、脊髄軟膜、白質、脊髄前角においてMuse細胞が観察され、脊髄前角の運動神経線維数や筋線維サイズも対照群と比較して有意に改善していました。

出典元
岡山大学 プレスリリース

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