1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. 第7回「小児の在宅医療を考える会」が開催

第7回「小児の在宅医療を考える会」が開催

2020年10月26日、小児の在宅医療を考える会がオンラインで開催されました。前回(第6回)に引き続き”小児在宅医療とIT”をテーマに会が進められ、100名以上の方が参加しました。今回は株式会社Kids Public 代表取締役 橋本直也先生および国立成育医療研究センター 総合診療部 在宅診療科部長 中村知夫先生より講演があり、デジタルを活用した小児在宅医療について議論が交わされました。

小児の在宅医療を考える会は「子供たちがより良い医療を受けて充実した生活を過ごせるために」を目的として2018年5月に設立されました。医療従事者と患者さんの自由な交流を目指して活動を続けており、今回が第6回目の公演となります。
小児の在宅医療を考える会

「スマホから小児科医へ相談『小児科オンライン』事業のご紹介」
株式会社Kids Public 代表取締役 橋本直也先生

株式会社Kids Publicは「子育てにおいて誰も孤立しない社会の実現」を理念とし、『小児科オンライン』サービスを提供しています。小児科オンラインはLINEなどのアプリを通じて親御さんと小児科医が繋がり、気になる症状についてリアルタイムで医療相談が行えます。特に新型コロナウイルス感染症の流行下において顕著ですが、流行以前より児童虐待の相談件数が増加しており、妊産婦の死亡原因の一部を産後うつが占めるなど、妊産婦を孤立させずに身体だけでなく心まで支えられる社会の必要性が高まってきています。小児科オンラインは基本的に無料で利用可能です。現在対応している産婦人科医/助産師は160名を超え、LINEを活用したチャットやテレビ電話を通じて相談でき、さらに相談者の同意のもとで自治体や医療機関との情報共有まで行えます。専門家に相談するための糸口はもちろんですが、専門家に相談できる環境があること自体が重要です。

小児科オンライン
横浜市で初となるSIBモデル事業に産婦人科・小児科オンラインが参画致します

「AI技術を用いた小児在宅患者家族支援の可能性」
国立成育医療研究センター 総合診療部 在宅診療科部長 中村知夫先生

人工知能(AI)は現在第3次ブームを迎えており、医療の現場にAIを活用しようという動きも高まっています。成育医療研究センターは「医療現場におけるAIホスピタル機能の実装に基づく実証試験による研究評価」をテーマにAI技術を取り入れた在宅医療支援の研究に取り組んでいます。特に近年の小児在宅医療の現場では母親以外の介護者がいない場面も多く、子供の状態を理解した訪問看護や訪問診療も少ないことから、在宅医療は母親の献身的なケアに支えられています。そうした状況で介護者のケアが重要視されるようになってきました。従来の介護者の負担評価は被介護者のケアの内容や病態を基準にされていました。しかし今後は、ケアによるストレスや拘束時間などにも目を向けた評価が必要です。最近ではウェアラブルデバイス等も充実しており、睡眠や活動量の記録も容易になりました。ストレスの状況をリアルタイムに収集できれば、親を頑張らせすぎない、孤立させない医療提供に繋がります。さらには、そのような情報を地域および医療機関と連携することで、子供たちの適切な支援を受ける機会の補償が可能になると考えられています。

中村知夫先生
成育医療研究センター在宅医療支援室
医療機器が必要な子どものための災害対策マニュアル

関連記事