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IgG4関連疾患および自己免疫性膵炎の新たなバイオマーカーを発見

近畿大学医学部の研究グループは、IgG4関連疾患(指定難病300)・自己免疫性膵炎(小児慢性特定疾病)の診断に活用が期待される、新たなバイオマーカーを発見しました。本研究により発見されたバイオマーカーを用いて新たな治療法や予防法の確立にも繋がると期待されています。

背景-新規の疾患概念における疾患メカニズムの探索

IgG4関連疾患は免疫グロブリンと呼ばれる抗体の一種であるIgG4が血液中に異常に多くなってしまう疾患で、腎臓や膵臓など、臓器が腫れたり硬くなったりします。明確な治療法も確立されておらず、国の指定難病にも指定されています。これまで自己免疫性膵炎と診断されていた症例のうちの多くが、IgG4関連疾患による膵臓の炎症であることが明らかになりました。IgG4関連疾患は比較的新しい疾患概念であり、近年徐々に医師の認識も高まってきてはいますが、疾患の発症メカニズムや治療法は明らかになっていません。

結果-バイオマーカーとしての有用性を確認

研究グループはこれまでにIgG4関連疾患および自己免疫性膵炎の病態について研究を続けてきており、「I型インターフェロン」と「インターロイキン33」の2種の物質が病態に関わっていることを明らかにしました。そこで、これらの2物質が病態のバイオマーカーとして有効かを検討しました。健常者、IgG4関連疾患・自己免疫性膵炎患者、アルコール性慢性膵炎患者の血清を比較した結果、IgG4関連疾患・自己免疫性膵炎患者でのみ「I型インターフェロン」と「インターロイキン33」が上昇していました。さらに、ステロイドによる治療で症状が改善されると、「I型インターフェロン」と「インターロイキン33」も同様に低下していました。ここまでの研究結果より、これらの2種の物質はIgG4関連疾患および自己免疫性膵炎のバイオマーカーとして有用であることが示されました。さらに、この2物質を標的とした新規治療法、予防法の確立にも繋がると期待されています。

出典元
近畿大学 NEWS RELEASE

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