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せんてんせいすいとうしょう
先天性水頭症congenital hydrocephalus

小児慢性疾患分類

疾患群11
神経・筋疾患
大分類3
脳形成障害
細分類10
先天性水頭症

病気・治療解説

概念

水頭症は何らかの原因により頭蓋内(脳室、くも膜下腔など)に過剰な髄液が貯留した状態を指す.通常は脳室拡大を伴うが、脳表くも膜下腔主体に髄液が貯留(外水頭症)することもある.髄液貯留に伴い頭蓋内圧亢進に由来する各種症状・兆候を伴う.先天性水頭症は、水頭症の中でも胎児期に発症し胎児期に診断された水頭症、および胎児期に発生し出生後早期に診断された水頭症を指す.この中には二分頭蓋・脊髄髄膜瘤・全前脳胞症など他の先天性疾患・症候群に伴ったものと、明らかな原因が不明な特発性水頭症(遺伝性水頭症・水無脳症・6q deletion症候群などの染色体異常に伴うものなど)を含む.

病因

先天性水頭症の病因は、何らかの原因で髄液の産生-吸収のバランスが崩れると生じる.産生過多による場合、髄液の循環障害、髄液の吸収障害がその主な機序となる.各種中枢神経系の異常に伴う場合、解剖学的な異常が背景となることもあるが、特発生水頭症では明らか異常を特定できないことも少なくない.また、近年では遺伝性水頭症の解明がすすんできており、X連鎖性遺伝性水頭症ではXq28に座位する神経接着因子L1CAMが原因遺伝子として特定されている.

疫学

国内における先天性水頭症の発生頻度は10000出生あたり3人前後と推定されている.1993年度に施行された全国疫学調査の結果では、先天性水頭症の頻度は10000出生あたり3.8人であり、その中で胎児期水頭症(胎児期に診断された水頭症)が2.1人であった.

臨床症状

頭蓋内圧亢進に起因する各種症状・兆候を示す.先天性水頭症の多くは胎児期・乳児期早期に診断されるため、頭囲拡大・大泉門緊満が主症状となる.後者は、進行が緩徐な場合は頭囲拡大により代償され、明らかでないこともある.頭囲静脈度長・落陽現象は進行した重度の頭囲拡大に合併して認めることがある.また頭蓋縫合離開、重症例では鬱血乳頭を呈することがある.
診断時より、あるいは成長に伴い精神運動発達障害・行動異常、視機能・内分泌機能障害が明らかとなってくることが多い.

診断

先天性水頭症の診断では、臨床所見としては頭囲測定および頭囲曲線上での経時的変化を確認することが基本となる.
画像診断としては、胎児期・新生児期から乳児期早期にかけては超音波検査がスクリーニングに適している.脳室拡大の生むだけでなく、拇指の内転屈曲を伴う場合には遺伝性水頭症を強く疑う.出生前・出生後いずれも水頭症病態の詳細な把握にはMRIが必要となる.とりわけ、MRIは中脳水道閉塞の有無、第3脳室底の異常・風船状膨隆の有無などを確認する上で重要である.CTは被爆の問題はあるが、治療後の長期経過観察を行っていく上で欠かせない.

治療

先天性水頭症の治療に当たっては、全身状態、とりわけ体重との関係で初期治療の進め方が異なってくる.一般に、体重2000〜2500gでは、出生後に髄液リザーバーを頭皮下に設置し、定期的に髄液を穿刺排液する.体重2500g以上となると、脳室腹腔短絡(VPシャント)術を行う.先天性水頭症の発生機序によっては、内視鏡治療(第3脳室開窓術)が適応になることもあるが、1歳以下での手術成功率は50-60%と決して高くはないことに留意する.

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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