ミトコンドリア病治療薬 承認へ 川崎医科大・砂田教授の治験で
メラスの治療薬につながった臨床試験の成果について発表する砂田教授 川崎医科大は19日、砂田芳秀教授(神経内科学)の研究グループが臨床試験(治験)に使った既存薬が、国指定難病・ミトコンドリア病の国内初の治療薬として承認される見込みに …
RareS.コメント
指定難病の「ミトコンドリア病」のうち、MELASという病気における国内初の治療薬として「タウリン」が承認され、保険適用される見通しとなりました。
ミトコンドリア病とは、ミトコンドリアDNAや核DNAの異常によりミトコンドリアの機能が低下することに由来する指定難病で、DNAのどの部分に異常があるかで様々なタイプが存在し、比較的症状が多岐にわたる病気です。MELASは、正式名称は「ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群」といい、主に脳卒中のような症状が起きる病気です。時間とともに症状が変化することがあるものの、根本的な治療方法はありません。
今回、高ビリルビン血症やうっ血性心不全に対して適用が取られていた「大正」(タウリン)という薬は、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において開発の高いということで開発の要請を受けており、大正製薬は、医師主導治験結果に基づいて、MELASにおける脳卒中様発作の再発抑制効果の承認申請が行われ、今回承認されることになりました。
タウリンは既存役であり、安価であることから医療費の側面からもメリットがあります。このように、すでにある薬が他の疾患にも適用していくことを「ドラッグ・リポジショニング」といいますが、こうしたことは患者数が少ないために研究開発が進みにくい難病・希少疾患領域とは親和性があり、今後もこうした動きが進んでいくことが期待されます。