筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態改善に新知見、低分子化合物MA-5がミトコンドリア機能を向上
東北大学、京都大学、国立精神・神経医療研究センターと慶應義塾大学の研究グループは9月16日、ミトコンドリア機能を高める低分子化合物Mitochonic acid 5(MA-5)に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態を改善する効果があることを発表しました。変異SOD1型の筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルのショウジョウバエ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者由来の皮膚線維芽細胞や患者由来iPS細胞から作製した運動神経細胞を用いて検証した結果、MA-5は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のショウジョウバエで低下していた運動機能やATP産生、ミトコンドリア膜電位を改善し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者由来の各細胞においてもATP産生やミトコンドリア機能などを高めることを明らかにしています。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)では運動神経細胞のエネルギー産生を担うミトコンドリアの異常が病態に関与すると考えられています。今回、研究グループがSOD1遺伝子変異を持つ筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルのショウジョウバエにMA-5を与えたところ、低下していた運動機能や細胞内のエネルギー分子であるATP産生、ミトコンドリア膜電位が改善しました。

さらに、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者由来の皮膚線維芽細胞やiPS細胞から作製した運動神経細胞においても、MA-5はATP産生やミトコンドリア機能、神経細胞内でのミトコンドリア移動速度を高める作用が確認されました。この効果はSOD1変異型だけでなく、FUS変異型や孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者由来細胞でも共通して認められました。MA-5はミトコンドリア内膜の構造維持に関わるタンパク質に作用し、エネルギー産生を効率化すると考えられています。あわせて、治療反応を評価する候補バイオマーカーとしてC7orf31などの分子も見いだされました。特にC7orf31はSOD1変異型の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんの血液中で濃度が高く、診断の指標となる可能性が示されています。

同研究は、ショウジョウバエや培養細胞を用いた非臨床研究であり、すぐに実際の治療につながるものではありません。実用化に向けては、今後、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんを対象とした臨床試験などで有効性や安全性を段階的に検証していく必要があります。
なお、同研究の成果は、国際学術誌「JCI Insight」に掲載されました。
