ハンナ型間質性膀胱炎の病変部から新たな細胞集団を発見
東京慈恵会医科大学の研究グループは7月13日、指定難病であるハンナ型間質性膀胱炎の膀胱組織を細胞レベルで解析し、病変部に特徴的な新しい線維芽細胞(NRG_Fib)を発見したと発表しました。さらに、この細胞が膀胱の表面を覆う細胞と通常とは異なる強い相互作用を示すことを明らかにし、病気の発症や慢性的な炎症に関わる可能性を示しました。
間質性膀胱炎は、慢性的な膀胱の痛みや頻尿などを引き起こす難治性の疾患です。その中でも泌尿器疾患で唯一の指定難病であるハンナ型間質性膀胱炎(指定難病226)は重症型とされており、膀胱粘膜の剥離や高度な慢性炎症が見られます。しかし、発症の仕組みや病気が進行するメカニズムは十分に解明されておらず、有効な治療の標的も限られていました。
今回、研究グループは、個々の細胞ごとに遺伝子の働きを調べることができる技術を用いて、正常な膀胱組織や病変部などから採取した約8万の細胞を解析しました。その結果、ハンナ型の病変部に特徴的な新しい線維芽細胞の集団を発見しました。この細胞集団は、細胞間の情報伝達を担う「NRG1」および「WNT5A」という分子を過剰に持っていることがわかりました。さらに、この新しい線維芽細胞が、膀胱の表面を覆う細胞に対して通常とは異なる強いシグナルを送っていることが判明し、慢性的な炎症や上皮の障害に関わっている可能性が示されました。また、一連の解析から、ハンナ型間質性膀胱炎が局所的な病変にとどまらず、膀胱全体の炎症性疾患であることも改めて確認されました。


以上の研究成果により、ハンナ型間質性膀胱炎に特徴的な新規線維芽細胞集団と、その細胞間ネットワークが初めて明らかとなりました。研究グループは今後、この新しい線維芽細胞がどのように慢性炎症や組織障害を引き起こしているのかを解明するとともに、発見された「NRG1」や「WNT5A」を標的とした新たな治療法の開発につなげることを目指しています。
なお、同研究の成果は、国際学術誌「iScience」に7月9日付で掲載されました。
