ハイキュービア10%皮下注セット、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎および多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制の適応で一変承認を取得
武田薬品工業株式会社は6月24日、皮下注用人免疫グロブリン製剤およびボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤から構成される組み合せ製剤「ハイキュービア10%皮下注セット(以下ハイキュービア)」について、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省から取得したと発表しました。
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(指定難病14、CIDP)は、末梢神経系に影響を及ぼす希少な後天性免疫介在性脱髄性末梢神経障害です。この疾患は、四肢の遠位部および近位部における脱力、ピリピリ感または感覚消失、反射消失、歩行困難といった進行性の左右対称性の症状を特徴としています。
多巣性運動ニューロパチー(MMN)も慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)と同様に末梢神経に障害が生じる疾患です。多巣性運動ニューロパチー(MMN)は慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)とは異なり、主に左右非対称の運動障害がみられ、感覚障害は認められないか、あったとしても軽度であるとされています。
ハイキュービアは、皮下注用人免疫グロブリン(SCIG)10%製剤1バイアルとボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(rHuPH20)製剤1バイアルから構成される皮下注用免疫グロブリン製剤です。同剤は、まずrHuPH20を投与して皮下組織の一時的な透過性を高め、その後同じ部位にSCIG10%を投与することで、SCIG10%の拡散と吸収を促し、大量投与を可能にしています。静脈路の確保が不要であるという皮下投与製剤の特性に加え、大量投与が可能となることで、従来の皮下注用人免疫グロブリン製剤と比較して少ない、3週または4週間隔となります。
今回の一部変更承認は、日本人の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんおよび多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんを対象とした国内第3相臨床試験(TAK-771-3002試験NCT05084053)、ならびに慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんを対象とした海外第3相臨床試験2試験(161403試験NCT02549170および161505試験NCT02955355)に基づいたものです。
これらの臨床試験において、ハイキュービアは、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)および多巣性運動ニューロパチー(MMN)における運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)に対する治療薬としての有効性と安全性が評価されました。
武田薬品PDTビジネスユニットR&D Japanリージョナルヘッドの廣田直美氏はプレスリリースにて、「世界45カ国以上で承認されているハイキュービアが、無又は低ガンマグロブリン血症に続き、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)を新たな効能・効果として、承認されたことを嬉しく思います。投与頻度が3週または4週間隔となり、CIDP/MMN患者さんの負担軽減が期待できる本剤を日本の患者さんにお届けできることを誇りに思っています」と述べています。