自分で選んで、自分で行動する|miuさん:神経炎症性非脱髄疾患(NINJA)

miuさんは、理学療法士(PT)として働いていましたが、数年前から体の違和感を感じ始めました。最初はつまずきやすくなる程度でしたが、症状が進行し、現在は車椅子を使用しています。診断までの道のりは長く、多発性硬化症(MS)を疑われながらも確定せず、最終的に「神経炎症性非脱髄疾患(NINJA)」と診断されました。現在は相談支援専門員として働きながら、4歳の子どもを育てる母親でもあります。「障害があっても諦めない」と前向きに生きるmiuさんの想いを伺いました。
これまでの経緯
- 2018年 つまずきやすくなり、踏ん張りがきかなくなる。
- 2019年 症状が進行し、走ることが困難になる。筋肉のつっぱりが強くなる。
- 2021年 出産後に体調が悪化し、歩行が困難になる。
- 2023年 セカンドオピニオンで多発性硬化症(MS)を疑われるも確定診断されず。
- 2024年 3つ目の病院で「神経炎症性非脱髄疾患(NINJA)」と診断され、治療開始。
病気の詳細
私の病気は「神経炎症性非脱髄疾患(NINJA)」です。神経系の病気で診断が難しい病気とされています。
最初に疑われたのは「多発性硬化症(MS)」でしたが、MRIに病変が映らず、確定診断には至りませんでした。
多発性硬化症(MS)は、脳や脊髄の神経を覆う「髄鞘(ずいしょう)」が免疫の異常によって攻撃され、神経伝達がうまくいかなくなる病気です。
一般的にMRIで病変が確認できますが、神経炎症性非脱髄疾患(NINJA)は、この病変がはっきりと映らないことが特徴です。
そのため、診断までに時間がかかるケースが多く、私自身も複数の病院を受診しました。
最終的に、3つ目の病院で神経炎症性非脱髄疾患(NINJA)の診断を受け、治療を開始しました。
現在は、ボトックスやステロイドパルス療法を定期的に受けながら、日常生活を送っています。
病気での生活の具体例
最初に異変を感じたのは2018年でした。
歩いているとつまずきやすくなり、踏ん張りがきかない感覚がありました。
2019年になると、走ることが難しくなり、筋肉のつっぱりが強くなりました。
それでも、当時は「疲れがたまっているのかな」と思い、病院に行きながらも原因がわからないまま生活を続けていました。
その後、妊娠・出産を経験し、さらに体調が悪化しました。
特に出産後が顕著で、麻酔から覚めた時に、体が思うように動かず、一人で歩くのが難しくなったことが大きな変化でした。
「これは一体なんだろう?」と混乱し、再び病院を訪れることになりました。
最初の病院では「多発性硬化症(MS)の可能性があるが、確定診断は難しい」と言われ、対症療法としてボトックスやステロイドパルス療法を受けることになりました。
しかし、どこか納得できず、他の病院でセカンドオピニオンを受けました。そして、知人から「神経炎症性非脱髄疾患(NINJA)という病気がある」と聞き、3つ目の病院へ。
そこで、ようやく神経炎症性非脱髄疾患(NINJA)と診断されました。
今思えば、発症のタイミングがいつだったのかは全くわかりません。
「もしかしたら、もっと前から病気だったのかも?」と考えることもあります。
仕事の様子
私はもともと理学療法士(PT)として、障害を持つ子どもたちのリハビリをしていました。
しかし、病気の進行により、現在は社会福祉法人で相談支援専門員として働いています。
仕事自体は、車椅子になっても続けられていますが、プライベートでは苦労することもあります。
特に、4歳の子どもを育てているので、行きたい場所に自由に連れて行けないことがもどかしいです。
「本当はもっと一緒に遊びに行きたいのに……」と思うこともあります。
でも、できる範囲で工夫しながら、母親としての役割を果たせるように頑張っています。
今後の目標

私が大切にしているのは「自分で選んで、自分で行動する」ことです。
障害があるからといって、やりたいことを諦めたくはありません。
私は、一人の人間として、そして普通の母親として、できることはすべてやりたいと考えています。
将来的には、理学療法士(PT)の経験を活かした仕事や車椅子での生活や育児に関する発信などもしていきたいと思っています。
私は小さい頃から障害のある方と関わって育ってきたため、もともと障害に対する偏見は全くありません。
そういった環境で育ったこともあり、障害を持っていること自体に対して、悲観的に考えたことはほとんどないんです。
「できることをすればいい」「工夫すれば何とかなる」と、楽観的に捉えています。
正直なところ、今は明確な目標を探している最中です(笑)。
もともと理学療法士(PT)になることが夢だったので、一度は病気のせいで落ち込みました。
でも、今こうして仕事ができていること自体がありがたいことだと思っています。
だからこそ、今は「何か物足りない」と思う気持ちを埋めるために、いろいろなことに挑戦したいと考えています。
明確なゴールはまだ見つかっていませんが、ビビッとくる「何か」を探しながら、チャレンジ精神を忘れずに進んでいきたいです。
最後に

障害があっても、できることはたくさんあります。
「できないから諦める」のではなく、「どうしたらできるか?」を考えることが大切です。
私は自分で選び、自分で行動する人生を送りたいと思っています。
病気や障害があっても、一人の人間として、自分の人生を楽しんでいきたい。
これからも、仕事や子育てをしながら、新しい目標を見つけていくつもりです。
私の経験が、同じように病気や障害と向き合っている方の希望になれば嬉しいです。
miuさんInstagramアカウント:@miu_582