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若年性パーキンソン病(YOPD)とともに生きる|岩井里美さん:若年性パーキンソン病(YOPD)

岩井里美さんは、若年性パーキンソン病(YOPD)と向き合いながら、病気への理解を広める活動や就労支援事業に取り組んでいます。看護師として働いていた中で異変を感じ、2014年に確定診断を受けました。その後、2度の脳手術を経験しながらも、病気を抱える人々のために起業し、情報発信にも力を入れています。「病気だからこそ得られた行動力を生かし、前を向いて進みたい」と語る岩井さんのストーリーをお届けします。

これまでの経緯

  • 2012年 歩き方に違和感を感じる。
  • 2014年 若年性パーキンソン病(YOPD)と確定診断を受ける。
  • 2021年 脳の手術を実施。
  • 2024年 脳の再手術を実施。

病気の詳細

私が最初に異変を感じたのは、同僚から「歩き方が変だ」と指摘されたときでした。

歩くと靴の音が「キュッキュッ」と鳴るようになり、自分でもおかしいと思いました。

その後、家で食器を洗う際にうまく手が動かせず、違和感を覚えました。

違和感の正体を突き止めるために、病院で検査を受けたところ、若年性パーキンソン病(YOPD)と診断されました。

パーキンソン病(PD)は、脳内のドーパミンが減少することで運動機能に影響を及ぼす病気です。

特に私の場合、薬の副作用でジスキネジア(勝手に体が動いてしまう症状)が出ることもあります。

この病気には「オン」と「オフ」という症状の変化があり、オンのときは比較的動けるのですが、オフのときは体が思うように動きません。

オンのときでも、ジスキネジアが起きることがあり、コントロールが難しい状態が続いていました。

現在は、DBS※という手術によりジスキネジアの症状は減少しています。

DBSは薬では十分にコントロールできない症状がある場合に検討される治療法で、薬の量を減らすことで副作用の軽減にもつながるとされています。

特にパーキンソン病(PD)では、ジスキネジアやオン・オフの波を抑える効果が期待されています。

ただし、効果には個人差があり、すべての症状が改善するわけではないこと、定期的な機器のメンテナンスや電池交換が必要なことなどの注意点もあります。

※DBS(Deep Brain Stimulation、脳深部刺激療法)は、パーキンソン病(PD)や振戦(ふるえ)、ジストニア(筋肉の異常な緊張)などの運動症状をやわらげる外科手術のひとつです。脳の深い部分(視床下核など)に細い電極を埋め込み、そこに電気刺激を与えることで、異常な神経の働きを抑え、症状をコントロールします。

病気での生活の具体例

病気の進行とともに、日常生活での困難が増えていきました。

特に子育て中は、薬を増やすと副作用が強くなり、減らすと動けなくなるというジレンマがありました。

それでも何とか子育てをしながら生活を続けてきました。

2021年に脳の手術を受け、電極を脳に埋め込んで、脳の信号を調整する処置をしました。

劇的な改善はありませんでしたが、少し動きやすくなり、オフの状態でも以前より動けるようになりました。

今では、ジスキネジアの症状は出ていません。

2024年には再手術を行い、さらに改善をしています。

現在は、症状がある程度落ち着いたものの、体の動きに制限があるため、無理をせずに生活を送っています。

仕事の様子

病気が進行し、ジスキネジアの影響で看護師の仕事を続けることが難しくなりました。

そこで、2019年に起業し、就労支援事業を立ち上げました。

起業のきっかけは、若年性パーキンソン病(YOPD)でも「経営者として働ける」という可能性を示したかったからです。

病気を持つ人が主軸となり、社会で活躍できる仕組みを作ることを目指しました。

また、パーキンソン病(PD)についての認知を広めるため、YouTubeを活用して情報発信をしています。

病気に関する知識や、自身の体験談を発信することで、多くの人に病気への理解を深めてもらいたいと考えています。

YouTubeチャンネル:なっちゃんライフ〜若年性パーキンソン病と私〜

今後の目標

病気を抱えている人々にとって、支え合える仲間の存在はとても大切です。

そのため、オンラインで交流できる場として「なつの酒場」を3ヶ月に1回と、「おるで会」を毎月Zzoomで開催しています。

「なっちゃんの酒場」というコミュニティを運営し、病気に関係なく、さまざまな人が集まれる場を提供しています。

さらに、障害のある人が収益を得られる仕組みを作ることにも挑戦したいと考えています。

また、異性とのマッチングの場も作りたいと思っています。

病気があっても恋愛や結婚を諦める必要はありません。

私自身、病気になってからも多くの人と出会い、支え合うことの大切さを実感しました。

その経験を活かし、同じように支え合える関係を築く場を提供したいと考えています。

悩んでいる方へ

病気になったことで、できないことも増えましたが、その分「やりたいことをやる」という行動力がつきました。

制限があるからこそ、やりたいことへの思いが強くなります。

もし、病気や障害で悩んでいる方がいたら、まずは行動してみてください。

どんな小さなことでもいいので、一歩踏み出すことが大切です。

私自身、試行錯誤しながらも、病気と向き合い、前向きに生きています。

何か不安があれば、ぜひ私に相談してください。

あなたの支えになれたら嬉しいです。

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