ぱーきんそんびょうパーキンソン病Parkinson's disease
指定難病6
パーキンソン病
実施中の治験/臨床試験
クローリングニュース
- 【日本株】2023年・春の「おすすめ新興株」を紹介!
- 手がふるえる病気に「集束超音波治療」…本態性振戦 …
- パーキンソン病発症、根本原因の一端解明 大阪大研究チーム
- 53歳で難病告知、挑んだ障害者雇用就活で「スカウトメール」が …
- パーキンソン病発症の根本原因、一端を解明か 大阪大チーム
- 阪大、パーキンソン病のタンパク質「αSyn」の異常な凝集の …
- 認知症など脳の病気にも関係! 研究者も注目の“腸脳相関”から …
- 松村 厚久: ダイヤモンドダイニング社長著者フォロー
- 「誰にも相談できない」高校2年から若年性パーキンソン病の父親を …
- コーヒーははたして健康にいいのか悪いのか?:最新研究を …
- 初期パーキンソン病に特化運動プログラムを刷新 メディカル …
- 40周年の「44マグナム」が恒例ライブ開催! 梅原〝PAUL〟達也 …
- 沖縄銀行が助成金 OIST支援の2社に計200万円
- ウクライナ人家族、避難長引き「つらい」 来日1年目前、母国へ …
- 言葉の壁、美しい風景に癒やされ ウクライナ避難家族 来日1年
- 製薬大国スイスで薬不足が起こる理由
- 脳・神経の病気
- 「レビー小体型認知症」発見、世界初の症例発表 小阪憲司さんが死去
- パーキンソン病の原因・症状
- 「万能細胞」治験実用へ前進 パーキンソン病根治狙う
病気・治療解説
概要
振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害(転びやすいこと)を主な運動症状とする病気で、50歳以上で起こる病気です。時々は40歳以下で起こる方もあり、若年性パーキンソン病と呼んでいます。
疫学
嗜眠性脳炎などの後遺症として起こった記録もありますが、ほとんどの方では特別な原因はありません。神経細胞の中にαシヌクレインというタンパク質が凝集して溜まることが原因となることが分っていますが、食事や職業、住んでいる地域など、原因となる特別な理由はありません。
原因
大脳の下にある中脳の黒質ドパミン神経細胞が減少して起こります。ドパミン神経が減ると体が動きにくくなり、ふるえが起こりやすくなります。ドパミン神経細胞が減少する理由はわかっていませんが、現在はドパミン神経細胞の中にαシヌクレインというタンパク質が凝集して蓄積し、ドパミン神経細胞が減少すると考えられています。このαシヌクレインが増えないようにすることが、治療薬開発の大きな目標となっています。
症状
ふるえ(振戦)、筋強剛(筋固縮)、動作緩慢、姿勢保持障害が主な運動症状です。ふるえは静止時の振戦で、椅子に座って手を膝に置いている時や歩いているときに、手に起こります。動かすとふるえは小さくなります。筋強剛は自分ではあまり感じませんが、他人が手や足、頭部を動かすと感じる抵抗を指しています。動作緩慢は動きが遅くなることで、同時に細かい動作がしにくくなります。最初の一歩が踏み出しにくくなる「すくみ」が起こることもあります。姿勢保持障害はバランスが悪くなり転倒しやすくなることです。姿勢保持障害は病気が始まって数年してから起こります。最初から起こることは無く、病気が始まって2年以内に姿勢保持障害が起こるときには、進行性核上性麻痺などのパーキンソン症候群の可能性があります。運動症状のほかには、便秘や頻尿、発汗、易疲労性(疲れやすいこと)、嗅覚の低下、起立性低血圧(立ちくらみ)、気分が晴れない(うつ)、興味が薄れたり意欲が低下する(アパシー)などの症状も起こることがあり、非運動症状と呼んでいます。
治療法
治療の基本は薬物療法です。ドパミン神経細胞が減少するため少なくなったドパミンを補います。ドパミン自体を飲んでも脳へは移行しないため、ドパミン前駆物質のL-dopaを服用します。L-dopaは腸から吸収され血液脳関門を通って脳内へ移行し、ドパミン神経細胞に取り込まれてドパミンとなります。その後シナプス小胞にとりこまれ、運動調節のために放出されドパミン受容体に作用します。ドパミン受容体刺激薬はドパミン神経細胞を介さずに、直接ドパミン受容体に作用し、少なくなったドパミンを補う作用があります。ドパミン神経以外の作用薬には、アセチルコリン受容体に作用する抗コリン薬、グルタミン酸受容体に作用するアマンタジン、アデノシン受容体に作用するイストラデフィリン、シグマ受容体に作用するゾニサミドがあります。また、L-dopaの作用を強める代謝酵素阻害薬があります。L-dopaが腸、肝臓、血管内でドパミンに変わるのを防ぐドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)(カルビドパ、ベンゼラジド)、同様にL-dopaが脳に入る前に分解されるのを防ぐカテコラミン-O-メチル基転移酵素阻害薬(COMT-I)(エンタカポン)、脳内でドパミンが分解されるのを防ぐモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO-I)(セレギリン)があります。いずれもドパミンの作用を強めるように働きます。DCI,COMT-IはL-dopaとの合剤もあります。
手術療法は脳内に電極を入れて視床下核を刺激する方法が最もよく行われます。視床下核は運動を抑制していると考えられ、ここを刺激して視床下核の機能を麻痺させると運動の抑制がとれて体が動きやすくなります。薬で治療しても振戦の強い方やウェアリングオフという、薬の効果が持続しない方で効果が期待されます。
体を動かすことは体力を高め、パーキンソン病の治療になります。激しい運動ではなく、散歩やストレッチなど、毎日運動を続け体力を高めることは重要です。また、気持ちを明るく保つことも重要です。気分が落ち込むと姿勢も前かがみとなり、動作も遅くなります。私たちが意欲を持って行動する時は脳内でドパミン神経が働いていると考えられています。日常生活の過ごし方も大事な治療ですので、是非工夫してください。
経過
治療薬が研究開発され、現在のパーキンソン病の平均寿命は全体の平均とほとんど変わらないと考えられています。転倒による骨折や他の病気をしないことはパーキンソン病の経過にとても大事です。誤飲して肺炎を起こしたり便秘して腸閉塞を起こすこともあります。食事は楽しんで、よくかんでゆっくり食べましょう。排便調節に注意を払い週に2回以上は排便があるように体調を保ちましょう。
患者さんに知って欲しいこと
運動、睡眠、食事、薬が基本です。運動は健康維持に必須です。はげしい運動ではなく散歩やストレッチをお勧めします。散歩は1日8000歩を目安にできるとよいと思いますが、自分の体調に合わせて計画してください。ストレッチは姿勢の維持に役立ちます。前かがみや斜め横になる姿勢が起こりやすくなります。自分ではまっすぐと感じる姿勢が、実際には斜めになっていることが少なくありませんので、できるだけ鏡を見て姿勢を良くしましょう。自分では大丈夫と思っていても転倒が起こりやすいので、躓くようなものは片付け早めに手すりを付けます。小さな楽しみを作って、毎日を工夫して過ごしましょう。
私たちは年を取ると病気が増えます。病気は大変ですが、病気をしても楽しんで若い方に生き方の手本を示しましょう。
※難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jpより、許可をいただき掲載しております。