慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下の進行抑制に対する皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤、製造販売承認を申請
武田薬品工業株式会社は8月8日、皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤(皮下注用pH4処理酸性人免疫グロブリン、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、開発コード:TAK-771)について、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」を予定する効能又は効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったと発表しました。
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(指定難病14)は、末梢神経系に炎症が起こり、四肢の遠位および近位における脱力、ピリピリ感または感覚消失、反射消失、歩行困難など、進行性の左右対称性の症状を典型的な特徴とする希少で後天的な免疫介在性の神経筋疾患です。多巣性運動ニューロパチー(指定難病14)も、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)と同じく末梢神経に障害が生じる神経炎です。多巣性運動ニューロパチー(MMN)は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)と異なり、左右非対称の運動障害が主で、感覚が障害されることはないか、障害があっても軽度です。
皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤は、皮下注用人免疫グロブリン10%製剤(以下「SCIG10%」)および遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20製剤(以下「rHuPH20」)から構成される皮下注用の組み合わせ製剤で、2種のバイアルが同梱されています。rHuPH20を投与し皮下組織の透過性を一時的に高め、その後同じ部位にSCIG10%を投与することで、SCIG10%の拡散と吸収が促進され、大量投与が可能になります。大量投与が可能であるため、投与頻度が従来の皮下注用人免疫グロブリン製剤に比べて少ない2週から4週間隔となり、患者さんの負担軽減が期待されるといいます。
今回の製造販売承認申請は、日本人の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)患者さんおよび多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんを対象とした国内臨床第3相試験(TAK-771-3002試験NCT05084053)、ならびにCIDP患者さんを対象とした海外臨床第3相試験2試験(161403試験NCT02549170および161505試験NCT02955355)に基づいたものです。これらの試験において、同剤は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)に対する治療薬としての有効性、安全性が評価されました。
武田薬品のPDTビジネスユニットR&D Japanリージョナルヘッドの廣田直美氏はプレスリリースにて、「CIG10%とrHuPH20の組み合わせ製剤が承認されれば、投与頻度が2週~4週間隔となり、CIDP/MMN患者さんの負担軽減が期待できます。なお、本剤は、2024年2月14日に、『無又は低ガンマグロブリン血症』を予定する効能又は効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行っています。40カ国以上で承認されている本剤を無又は低ガンマグロブリン血症およびCIDP(MMN)患者さんの新しい治療選択肢として、少しでも早くお届けできる日を心待ちにしています」と述べています。