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慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するバルーン肺動脈形成術、術後の再発性肺高血圧症は稀で予後は良好

国立循環器病研究センターは5月8日、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するバルーン肺動脈形成術後の治療血管の再狭窄・閉塞による症候性再発性肺高血圧症は非常に稀で、再発性肺高血圧症のほとんどは軽度の悪化のみで予後は良好であったことを明らかにしたと発表しました。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88)は、器質化した血栓による慢性的な肺動脈狭窄または閉塞を起こし、肺高血圧症を合併する疾患です。バルーン肺動脈形成術は、手術がハイリスクであるために肺動脈内膜摘除術が困難な末梢型の慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の患者さんの血行動態や運動耐容能を改善させ、治療後の長期予後が良好であることが知られています。一方、治療後の再発については明らかにされていませんでした。

今回、国立循環器病研究センターは、2009年~2020年に肺動脈内膜摘除術が困難なCTEPHに対してバルーン肺動脈形成術を施行された262例を調査。バルーン肺動脈形成術後の初回のカテーテル検査で肺高血圧症が正常化(平均肺動脈圧<25mmHg)したものの、フォローアップのカテーテル検査で肺高血圧症の再発(平均肺動脈圧≧25mmHg)があり、バルーン肺動脈形成術または肺血管拡張薬での追加治療を要した患者さんを再発群として、再発群と非再発群の比較を行いました。262例のうち158例が解析の対象となり、そのうち11例が再発群に該当しました。

解析の結果、5年時点での再発の状態占有確率は9.0%(95%CI:5.0-18.9%)でした。再発群で血行動態と運動耐用能の著明な悪化を認めた患者さんは1例、肺動脈造影検査では以前治療した肺動脈の再狭窄・閉塞病変を認めました。一方で、再発群のその他10例では、血行動態や運動耐容能の悪化は軽度で、肺動脈造影検査で残存狭窄・閉塞病変はあるものの新規病変や再狭窄・閉塞病変は認めませんでした。さらに、バルーン肺動脈形成術または肺血管拡張薬による追加治療を実施した結果、再発群も非再発群と同等の血行動態へ改善し、その予後は良好でした。

画像はリリースより

以上の研究成果より、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するバルーン肺動脈形成術後の治療血管の再狭窄・閉塞による症候性再発性肺高血圧症は非常に稀で、再発性肺高血圧症の悪化は、ほとんどが軽度で、予後は良好であったことが示されました。今後は、再発性肺高血圧症を適切に抽出するためのフォローアップ方法と適切な治療介入方法の検討が必要としてます。

なお、同研究の成果は、国際心臓肺移植学会の機関誌「The journal of Heart and Lung Transplantation」に5月6日付で掲載されました。

出典
国立循環器病研究センター プレスリリース

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