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パーキンソン病の病因タンパク質LRRK2の活性化制御が新規治療につながる可能性を示す

東京大学は1月17日、パーキンソン病の病因タンパク質LRRK2が細胞小器官であるリソソームへのストレスに応答して活性化する分子機構を明らかにしたと発表しました。

パーキンソン病は、ふるえや動作緩慢、筋強剛などの症状を呈する疾患で、老年期に発症することが多いといわれています。現在、脳内のドパミンを補充するなどの対処療法は普及しているものの、神経細胞の変性や死そのものを抑える根本的な治療法は存在しません。

パーキンソン病の一部には遺伝的に発症する症例が存在し、その原因遺伝子として、2004年にLRRK2が同定されました。LRRK2は、タンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)であり、細胞内でRabと呼ばれるタンパク質ファミリーの一群(Rab10、Rab8など)をリン酸化させる作用を持っています。

LRRK2の異常な活性化がパーキンソン病の背景にあることは知られていましたが、活性化の分子メカニズムや意義については多くが不明でした。

これまで研究グループは、リソソームに蓄積して過積載ストレスを与える性質を有するクロロキンなどの化合物を細胞に投与すると、LRRK2が活性化することを見出していましたが、今回、オートファジーに類似したATG8一重膜結合機構がLRRK2を制御することを見出しました。ATG8一重膜結合機構は、LRRK2をリソソーム膜上に局在化させることで活性化し、結果としてリソソームの形態調節や内容物放出に至ることが分かりました。

以上の研究成果より、LRRK2の活性化とその結果生じるリソソームストレス応答をもたらす分子メカニズムが明らかとなりました。LRRK2の活性化を適切に制御することにより、パーキンソン病の今後の治療開発につながることが期待できるといいます。

なお、同研究の成果は、『Journal of Cell Biology』に1月6日付で掲載されました。

出典
東京大学 プレスリリース

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