トレムフィア皮下注と点滴静注、中等症から重症の活動期クローン病の適応で一変承認を取得
Johnson&Johnson(法人名:ヤンセンファーマ株式会社)は6月24日、「トレムフィア点滴静注200mg」および「トレムフィア皮下注200mgシリンジ」、「トレムフィア皮下注200mgペン」、「トレムフィア皮下注100mgシリンジ」[一般名:グセルクマブ(遺伝子組換え)、以下トレムフィア]について、中等症から重症の活動期クローン病の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)を効能又は効果として、製造販売承認事項一部変更の承認をしたと発表しました。
クローン病(指定難病96)は、腹痛や頻繁な下痢、直腸からの出血、体重減少、発熱など多岐にわたる症状が現れる炎症性腸疾患です。日本国内には約7万人の患者さんがいると推定されております。特に若年層での発症が多く、男性では20~24歳、女性では15~19歳が発症のピークとされています。この疾患は、学業や職業など、患者さんのライフイベントに大きな影響を及ぼすことがあります。現在のところ、クローン病を根本的に治す治療法は確立されておらず、症状の寛解を維持することが治療の重要な目標の一つとされているため、新たな治療選択肢が求められていました。
トレムフィアは、導入期の治療において皮下投与および静脈内投与という2つの選択肢を提供するインターロイキン(IL)-23p19阻害薬です。この薬剤は、IL-23の阻害に加えて、炎症性単球モデルのIL-23産生細胞の表面に発現するCD64にも結合し、IL-23を捕捉するデュアルアクティング(二重作用)を有しています。
今回の承認は、国際共同第III相試験であるGALAXI試験、GRAVITI試験、および国内で実施されたCRD3003試験の結果に基づいたものです。これらの試験では、従来の治療法や生物学的製剤、JAK阻害剤で十分な効果が見られなかった、またはこれらの薬剤への忍容性が低かった中等症から重症の活動期クローン病の患者さんにおいて、トレムフィアの有効性と安全性が評価されました。
GALAXI 2試験およびGALAXI3試験は、プラセボ対照および実薬対照(ステラーラ)を用いて国際的に共同で実施された試験です。これらの試験では、トレムフィアの静脈内投与による導入治療と、皮下投与による維持治療の有効性および安全性が検証されました。一方、GRAVITI試験はプラセボ対照の試験で、導入治療としてのトレムフィアの皮下投与における有効性と安全性を評価しました。国内で行われたCRD3003試験では、日本人のクローン病患者さんにおけるトレムフィアの安全性プロファイルと有効性が確認されています。
GALAXI試験のデータからは、トレムフィアが二重盲検直接比較試験において、多重性を調整した内視鏡的有効性の点でステラーラに対し優越性を示したことが報告されています。GRAVITI試験とGALAXI試験の双方の結果は、トレムフィアの皮下投与または静脈内投与が、臨床的および内視鏡的な主要評価項目を達成し、その有効性を示していることを裏付けています。
なお、今回のトレムフィアの承認は、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症及び潰瘍性大腸炎に続き、日本国内では7つ目の適応症取得となります。