遺伝性血管性浮腫(HAE)患者予測AIモデルの活用が早期診断に繋がる可能性
京都大学医学部附属病院は12月9日、日本アイ・ビー・エム株式会社と一般社団法人遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(DISCOVERY)と共に、京大病院が保有する電子カルテデータを活用し、DISCOVERYと日本IBMが構築した遺伝性血管性浮腫(HAE)患者予測AIモデルの有用性の検証した結果が2024年9月に学術誌「JMIR Medical Informatics」に掲載されたと発表しました。
原発性免疫不全症候群(指定難病65)の一種である遺伝性血管性浮腫(HAE)は、全身のあらゆる箇所が急に皮膚や粘膜が腫れたりむくんだりする遺伝性の疾患です。5万人に1人の有病率と言われています。
DISCOVERYは、2021年2月に、遺伝性血管性浮腫(HAE)と診断されずに症状に苦しむ患者さんのために、医療従事者、患者団体、製薬企業を中心に発足し、適切な早期診断および診断率の向上を目指す取り組みを行っています。その取り組みのひとつとして、医療データAI分析ワーキンググループを立ち上げ、遺伝性血管性浮腫(HAE)の潜在患者さんを特定する診断を支援するための研究および、その支援のためのAI開発を日本アイ・ビー・エム株式会社と行っているそうです。
今回、京都大学医学部附属病院が保持している電子カルテデータに対して、遺伝性血DISCOVERYおよび日本アイ・ビー・エム株式会社が開発した遺伝性血管性浮腫(HAE)患者予測AIモデルを適用。適用結果の予測精度や遺伝性血管性浮腫(HAE)リスクが高いと提示された患者さんの傾向等について評価しました。
今回の検証では、遺伝性血管性浮腫(HAE)の可能性が高いとして抽出された患者さんのグループにおいては、約5人に1人の割合で遺伝性血管性浮腫(HAE)の確定診断、または遺伝性血管性浮腫(HAE)の疑いがある旨の記録がされていました。この結果から、これまで遺伝性血管性浮腫(HAE)の診断記録がない患者さんにおいても、同モデルの適用結果を活用することにより、遺伝性血管性浮腫(HAE)の早期診断に繋がると考えられます。
同研究の統括責任者である京大病院血液内科 山下浩平准教授はプレスリリースにて、「HAE患者予測AIモデルは海外の電子カルテ・レセプトデータを元に構築されたモデルであり、国内の電子カルテへの適用性が懸念されていたものの、本研究によって一定レベルの有用性を評価できた。本来HAEを疑うべき患者も抽出されているため、潜在患者の発見に貢献し得る」と述べています。