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間質性膀胱炎(ハンナ型)のB細胞異常発生メカニズムを解明、新規治療法の開発につながる可能性

信州大学らの研究グループは、原因不明で確立された診断方法や治療法のない指定難病である間質性膀胱炎(ハンナ型)に関するB細胞抗原受容体免疫ゲノム解析を行い、膀胱組織へ浸潤しているB細胞のクローン性拡大が起きていることを世界で初めて明らかにしたと発表しました。この研究成果は、同大、金沢大学、東京大学と秋田大学によるものです。

間質性膀胱炎(ハンナ型)(指定難病226)は、膀胱に原因不明の炎症が起こり、激しい膀胱・尿道痛、頻尿、尿意切迫感などの排尿症状が現れる疾患です。病態機序はほとんど解明されておらず、標準的な診断基準や根治治療は確立されていません。

今回、研究グループは、は日本人の間質性膀胱炎(ハンナ型)患者さんの検体を用いて包括的な免疫ゲノム解析を行いました。イメージングマスサイトメトリーと呼ばれる多重免疫染色を行い、形質細胞が上皮下へ浸潤していることを確認しました。さらに37例のRNAシークエンスから約4割の症例において軽鎖制限(κ鎖16%、λ鎖22%)が起きていることを突き止めました。

画像はリリースより

次に、B細胞抗原受容体(BCR)のゲノムシークエンスによるBCRレパトア解析(B細胞抗原受容体免疫ゲノム解析)を行ったところ、浸潤B細胞のクローン性拡大が起きていることを突き止めました。さらに、RNAシークエンスを用いた遺伝子発現分析との統合解析を行い、APRILとBAFFという2種類のタンパク質がB細胞のクローンの多様性と強く逆相関しており、これらの分子がクローン拡大に寄与している可能性を明らかにしました。

画像はリリースより
画像はリリースより

膀胱全摘出例を対象に20か所のマルチプルサンプリングを行い、同一症例の過去の生検検体と合わせてBCRレパトア解析による時・空間的なクローンの広がりと拡大を評価。その結果、一部の領域では生検時と同じクローンが拡大している一方で、別の箇所では全く異なるクローンが出現・拡大していました。これらのクローンの広がりとAPRIL・BAFFなどの遺伝子発現、そして病理学的特徴のパラメータを抽出・統合し、クラスタリング解析を行ったところ、3群のパターンに分類され、APRIL・BAFFに制御される間質性膀胱炎(ハンナ型)の病態の全貌が明らかになりました。

画像はリリースより

以上の研究成果より、免疫ゲノム解析を応用することでそれらがBAFF/APRIL 系の生物学的経路によって制御されていることが明らかになりました。この結果は、間質性膀胱炎(ハンナ型)の病態解明と、新規治療法の開発、バイオマーカーの確立につながる可能性があり、医学の発展に寄与することが期待されるといいます。

なお、同研究の成果は、「The Journal of Pathology」オンライン版に10月3日付で掲載されました。

出典
信州大学 トピックス

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