脊髄性筋萎縮症(SMA)の早期発見・治療につながる「迅速で、簡便なSMAスクリーニングキット」、研究成果が学術雑誌に掲載
Craif株式会社は8月2日、名古屋大学との共同研究により、脊髄性筋萎縮症(SMA)の早期発見・治療につながる「迅速で、簡便なSMAスクリーニングキット」について、研究成果が米国学術雑誌「PLOS ONE」に8月1日付で掲載されたと発表しました。
脊髄性筋萎縮症(指定難病3)は、SMN1遺伝子エクソン7のホモ接合型欠失が原因により、進行性の筋力低下と筋萎縮が生じる遺伝性疾患です。近年、複数の治療法が開発されており、脊髄性筋萎縮症(SMA)患者さんの早期診断と迅速な治療は予後に大きな影響を与えます。
現在の脊髄性筋萎縮症(SMA)スクリーニングテストでは、新生児出生から血液採取までのインターバルや、SMN1と類似遺伝子SMN2の識別の困難さから、SMA疑い例の特定に一定の時間を要します。この問題を克服するため、一般の病院やクリニックでも迅速に実施できる新しい脊髄性筋萎縮症(SMA)スクリーニングアッセイの開発を目的としました。
今回の研究では、エクソン7周辺のSMN1特異的な塩基配列を標的とした100以上のフォワード/リバースプライマーの組み合わせを設計し、それらの特異性と増幅効率を定量PCRで評価し、最適なプライマーペアを特定しました。さらに、非定量PCRとSTH(一本鎖タグハイブリダイゼーション)アッセイを組み合わせることで、簡易的な装置のみでベッドサイドで実施可能なスクリーニングアッセイを開発。アッセイを用いて、青色バンドの出現の有無で脊髄性筋萎縮症(SMA)か否かを容易に評価することができるといいます。
新たに開発されたアッセイの精度と実用性を評価するために、外来クリニックで採取された脊髄性筋萎縮症(SMA)患者さん(5名)と脊髄性筋萎縮症(SMA)保因者(2名)の唾液検体、およびバイオバンクから購入した脊髄性筋萎縮症(SMA)患者さんおよび脊髄性筋萎縮症(SMA)保因者のDNA検体、健康な成人ボランティアの検体を分析しました。その結果、すべての脊髄性筋萎縮症(SMA)患者さんのDNAと唾液検体でSMN1の欠失が確認されましたが、保因者や健康ボランティアの検体ではSMN1標的領域の存在が示されました。
今回開発したアッセイは、新生児誕生後1.5時間以内に完了することができ、脊髄性筋萎縮症(SMA)患者さんが従来よりもさらに迅速に治療を受けることを可能にします。
Craifはプレスリリースにて、「前向き臨床試験を開始しており、規模の拡大を予定。2025年以降の実用化に向けて準備」と述べています。また、「その場で迅速に標的核酸配列を検出する独自技術を活用し、SMA以外の遺伝性疾患をはじめとした各種疾患のスクリーニングに応用」と話しています。