【スイス】I型脊髄性筋萎縮症治療薬エブリスディの有効性と安全性プロファイルを評価したFIREFISH試験の5年データを発表
スイス・ロシュ社は6月7日、I型脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)の小児に対するエブリスディ(一般名:リスジプラム)の有効性と安全性プロファイルを評価したピボタル試験FIREFISH試験の非盲検延長パートについて、新規の5年データを発表しました。
I型脊髄性筋萎縮症(SMA)は、生存運動ニューロン(SMN)1遺伝子の変異が原因で、SMNタンパクが欠乏することにより、筋力低下が起こる疾患です。
エブリスディは、中枢神経系と末梢組織の両方に作用し、全身に働きかけるよう設計されてる経口投与可能な低分子脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬です。自宅での投与が可能となっています。
今回発表されたデータによると、5年経過時点で、エブリスディによる治療を受けた小児の91%が生存しており、81%は永久的な人工呼吸器を必要とせずに生存しており、半数以上の小児が少なくとも30秒間(59%)支えなしに座ることができました。5年経過時点では7人の小児が立つことができ、うち3人は支えがあれば、4人は補助なしで立つことができ、また6人は支えがあれば歩くことができました。
疾患修飾治療を行わない場合の自然経過では、I型脊髄性筋萎縮症(SMA)の小児は支えなしに座る・立つ・歩くことができないだけでなく、通常2歳を超えて生存することが難しいと言われています。
Bayley Scales of Infant and Toddler Development Third Edition(BSID-III)とHammersmith Infant Neurological Examination 2(HINE-2)による評価では、エブリスディによる治療を受けた小児の運動機能は、維持または継続して達成されました。
また、FIREFISH試験の結果は、エブリスディによる治療を受けた小児の大部分が摂食能力及び嚥下能力を維持していることを示し、5年時点で評価された小児の96%が嚥下することができ、80%が経管栄養なしで摂食できました。
有害事象においては、最も多く発現したものは、上気道感染(64%)、発熱(64%)、肺炎(50%)でしたが、投与中止または試験からの脱落に至った治験薬と関連のある有害事象はありませんでした。5年間の治療期間を通じて入院の頻度は減少し、エブリスディによる治療を開始して以来、全く入院が必要なかった小児の割合は22%でした。
なお、本データは、2024年6月5~7日に開催された「Cure SMA Research & Clinical Care Meeting」で発表されました。