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発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬ボイデヤ、C5阻害剤との併用で製造販売承認を取得

アレクシオンファーマ合同会社は1月19日、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬としてボイデヤ(一般名:ダニコパン、以下ボイデヤ)の製造販売承認を、2024年1月18日付で取得したと発表しました。

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、血管内溶血(IVH)として知られる血管内の赤血球破壊と、白血球および血小板の活性化を特徴とする重度の希少な血液疾患です。慢性的な赤血球の破壊により、腎機能低下や血栓症を引き起こし、臓器障害や早期死亡に至る可能性があります。

今回の承認を受けて、ボイデヤは、補体(C5)阻害剤による適切な治療を行っても十分な効果が得られない場合に、C5阻害剤のユルトミリス(一般名:ラブリズマブ(遺伝子組換え)、以下ユルトミリス)またはソリリス(一般名:エクリズマ ブ(遺伝子組換え)、以下ソリリス)と併用投与されます。C5阻害剤は、補体C5を阻害することにより終末補体を抑制し、症状および合併症を軽減するため、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者さんの生存率への影響が期待できるといいます。

一方で、C5阻害剤を投与下の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者さんの約10~20%には、臨床的に問題となる血管外溶血(EVH)が顕在化し、持続的な貧血症状が現れるため、定期的な輸血が必要となることがあります。 ボイデヤは、経口補体D因子阻害剤であり、C5阻害剤の治療中に血管外溶血(EVH)を生じる患者さんのニーズに対応しています。

今回の承認は、検証試験である国際共同第III相試験(ALPHA試験)から得られた肯定的な結果に基づいたものです。同試験は、ヘモグロビンが9.5g/dL以下かつ網状赤血球数が120×109/L以上と定義した臨床的に問題となる血管外溶血(EVH)を示す発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者さんを対象に、ユルトミリスまたはソリリスにボイデヤを併用した際の有効性および安全性を評価しました。

その結果、プラセボ群と比較して、ユルトミリスまたはソリリスにボイデヤを併用した群は、投与12週時点のヘモグロビンのベースラインからの変化量という主要評価項目を達成したほか、輸血回避および慢性疾患治療の機能的評価-疲労(FACIT–Fatigue)スコアの変化量を含む主な副次評価項目を達成しました。

アレクシオン社最高経営責任者(CEO)であるマーク・デュノワイエ氏は「20年を超えるPNH研究により、この希少疾患を効果的に治療する上でのC5阻害剤の役割が強固なものとなり、私たちはこの疾患を持つ患者さんのために引き続き革新を起こしてまいります。C5阻害剤へ追加投与されるボイデヤは、すでに確立されている治療を中断することなく、臨床的に問題となるEVHの影響を受けている患者さんのニーズに対応するという当社の決意を示しています。日本において、この症状を有するPNH患者さんに新たな進展をお届けできると期待しています」と述べています。

ボイデヤは、米国食品医薬品局よりブレイクスルーセラピーの指定を、欧州医薬品庁よりPRIority MEdicines(PRIME)の指定を受けています。また、本剤は米国、欧州、日本において、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として希少疾病用医薬品の指定を受けています。現在、複数の海外の保健当局より、ボイデヤの規制当局への申請に対する審査がおこなわれています。

なお、同試験における12週間の主要評価期間の結果は、Lancet Haematology誌にて発表されました。

出典
アレクシオンファーマ合同会社 プレスリリース

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