再生不良性貧血治療薬レボレード、6歳~12歳の小児患者に対する適応追加承認を取得
ノバルティスファーマ株式会社は12月22日、トロンボポエチン受容体作動薬「レボレード錠12.5mg、同25mg」(一般名:エルトロンボパグ オラミン、以下レボレード)について、「再生不良性貧血に対する小児患者(6歳以上)」における用法および用量の追加承認を取得したと発表しました。
小児の再生不良性貧血の患者さんに対する治療として、移植適応の場合には骨髄移植が第一選択となり、移植非適応の場合には免疫抑制療法が選択されます。成人の患者さんに対してはレボレードと免疫抑制療法の併用が選択肢の一つとなっていますが、小児の治療に対する適応はこれまで承認されていなかったため、成人と同様に使用可能となることが期待されていました。
再生不良性貧血は、何らかの原因により造血幹細胞が減少してしまうことで、白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾患です。労作時の息切れ、動悸およびめまいなどの貧血症状や出血傾向などといった症状が現れます。小児における再生不良性貧血の患者さんはまれであり、国内の年間発症数は70~100名と推定されています。
レボレードは、経口投与のトロンボポエチン受容体作動薬です。トロンボポエチン受容体は造血幹細胞や骨髄前駆細胞などの膜表面に発現する膜貫通型受容体で、トロンボポエチンとの結合により活性化され、核内にシグナルを伝達することで、造血幹細胞や骨髄前駆細胞の増殖や分化を誘導すると考えられています。レボレードは、トロンボポエチン受容体に直接結合するのではなく、受容体膜貫通領域と特異的に相互作用をすることで、トロンボポエチンの主要な細胞内シグナル伝達経路の一部であるJAK-STAT経路とRas-MAPK経路を活性化し、血球の増加を促進します。
今回の小児の用法および用量追加の承認は、免疫抑制療法で未治療の6歳以上の東アジア人重症の再生不良性貧血の患者さん36名を対象とした国際共同第II相G2201試験/REACTS試験のデータに基づいたものです。同試験には、日本人小児患者さん5名が含まれています。
G2201試験では、投与26週時の完全奏効率は16.7%、奏効率は77.8%でした。また、日本人小児患者さん5名においては、投与26週時の完全奏効率は20.0%、奏効率は80.0%でした。安全性については、成人患者さんと同様であり、新たな安全性上の懸念はありませんでした。
また、抗胸腺細胞免疫グロブリン(ATG)で未治療の小児患者さんに対して、これまではATG投与後にレボレードの投与を開始するよう添付文書において注意喚起されていましたが、G2201試験の結果に基づきこの注意喚起が削除され、ATGとレボレードを同時に投与開始することが可能となりました。
ノバルティス ファーマ株式会社の代表取締役社長であるレオ・リー氏は「今まで小児における、移植非適応の再生不良性貧血に対する治療選択肢は限られていたため、この度の『レボレード』の用法及び用量追加の承認により、小児の患者さんやご家族に新たな治療選択肢を提供できることを嬉しく思います」と述べています。