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再生不良性貧血aplastic anemia

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再生不良性貧血
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再生不良性貧血患者におけるAMG531(ロミプロスチム)の研究2020・02・05

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非重症再生不良性貧血に対するシクロスポリン療法の有用性に関する検討2019・06・21

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同種造血幹細胞移植後に発生する感染性・非感染性肺臓炎に対して、全身放射線照射の線量率が与える影響の検討2019・04・08

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標準リスク進行期造血器疾患に対する低用量アレムツズマブ併用HLA不適合同種造血幹細胞移植の有効性の検討2019・01・14

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若年女性がん、免疫疾患における妊孕性温存を目的とした卵巣組織凍結・体外培養ならびに自家移植2018・08・08

病気・治療解説

概要

再生不良性貧血は血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾患です。この状態を汎血球減少症と呼びます。重症度が低い場合には、貧血と血小板減少だけがあり、白血球数は正常近くに保たれていることもあります。白血球には好中球、リンパ球、単球などがあり、再生不良性貧血で減少するのは主に好中球です。好中球は私達の体を細菌感染から守る重要な働きをしています。
これらの血球は骨髄で作られます。本症で骨髄を調べると骨髄組織は多くの場合脂肪に置き換わっており、血球が作られていません。そのために貧血症状、感染による発熱、出血などが起こります

罹患数

臨床調査個人票による調査では、2004年~2012年の9年間の罹患数は約9,500(年間約1,000人)、罹患率は8.2(/100万人年)とされています。

疫学

罹患率の性比(女/男)は1.16で、男女とも10~20歳代と70~80歳代にピークがあります。

原因

骨髄中の造血幹細胞が何らかの原因で傷害されて起こる病気です。造血幹細胞とは骨髄中にあって、赤血球、好中球、血小板の基になる未熟な細胞です。赤血球、好中球、血小板は骨髄で完成すると血液中に放出され、その後赤血球は約120日、好中球は半日、血小板は約10日で壊れます。健康な人では造血幹細胞からこれら3種類の血球が絶えず作り続けられて、壊れた血球分を毎日補っています。再生不良性貧血ではその造血幹細胞が何らかの原因で傷害されるため、3種類の血球が補給出来なくなっています。

 
再生不良性貧血には生まれつき遺伝子の異常があって起こる場合とそうでない場合があります。生まれつき起こる(先天性の)再生不良性貧血はごくまれな疾患で、その多くは、人の名前が付けられたファンコニ貧血という病気です。後者は後天性再生不良性貧血と呼ばれ、実際にはこれが大部分を占めます。
後天性再生不良性貧血には何らか原因があって起こる場合と原因不明の場合(特発性)があります。実際には90%以上が特発性です。残りは薬剤・薬物、放射線、などによる二次性ですが、二次性とは言っても原因を特定できないことがしばしばあります。
特発性再生不良性貧血の大多数は、自己免疫的な(免疫を司る細胞が自分の細胞を攻撃する)機序によって造血幹細胞が傷害される結果発症すると考えられています。免疫というのは、外からの細菌やウイルスの感染を防ぐための体のしくみであり、主に白血球の中のリンパ球が担当しています。一方、自己免疫反応とは、このしくみが何らかの原因で変化した結果、リンパ球などが自分自身の細胞を傷害するようになることを指します。その結果起こる病気は自己免疫疾患と呼ばれています。特発性再生不良性貧血においては、造血幹細胞が自分自身のリンパ球によって傷害されると考えられています(図1)。ただし、すべての特発性再生不良性貧血がそのような自己免疫反応によって起こっているわけではなく、一部の例では造血幹細胞自身に異常があり、そのために血球が産生されなくなると考えられています。

遺伝

生まれつき起こるファンコニ貧血は「常染色体劣性」という遺伝形式をとる病気です。再生不良性貧血の大部分を占める後天性では遺伝は証明されていません。ただし、すべての病気の発症は生まれつきの体質と環境の影響を受けますので、この病気でも「なりやすさ」という体質は遺伝する可能性があります。

症状

赤血球、好中球、血小板の減少によって、それぞれの血球減少に応じたさまざまな症状が起こります。赤血球は酸素を運搬しているため、その減少によって脳、筋肉、心臓などの全身に酸素欠乏の症状が起こります。脳の酸素欠乏でめまい、頭痛が起こり、筋肉の酸素欠乏で身体がだるくなったり、疲れやすくなったりします。心臓の酸素欠乏により狭心症様の胸痛が起こることもあります。それ以外に、身体の酸素欠乏を解消しようとして呼吸が速くなったり、心拍数が多くなったりします。呼吸が速くなったことを息切れとして感じ、心拍数が速くなった状態を動悸として感じます。赤い赤血球が減るため顔色は青白くなります。
白血球のうち好中球は主に細菌を殺し、リンパ球は主にウイルス感染を防ぎます。したがって、好中球が減ると肺炎や敗血症のような重症の細菌感染症になりやすくなります。
血小板は出血を止める働きをしているので、少なくなると出血しやすくなります。よく見られるのは皮膚の点状出血・紫斑や鼻出血、歯肉出血などです。血小板減少がひどくなると眼底・脳出血、血尿、下血などが起こります。

治療法

A)原因をさけること
薬剤や化学物質が原因として疑われる場合はそれらをさける必要があります。ただし、実際には再生不良性貧血との因果関係がはっきりしている薬剤はごく少数であり、それらは既に販売が中止されています。
B)治療法の種類
治療法としては、1.免疫抑制療法、2.骨髄移植、3.蛋白同化ステロイド療法、4.支持療法があります。特発性でも二次性でも、いったん発症すると治療は同じです。
免疫抑制療法とは、造血幹細胞を傷害しているリンパ球を抑えて造血を回復させる治療法です。抗胸腺細胞グロブリン(英語の頭文字をとってATGあるいはALGとも呼ばれています)とシクロスポリンいう薬が使われます。
骨髄移植は、患者さんの骨髄細胞を他の人の正常な骨髄細胞と取り換える治療法です。HLAという白血球の型のあった兄弟姉妹あるいは骨髄バンクの骨髄提供者から骨髄細胞をもらい点滴します。最近では臍帯血移植も行われています。
蛋白同化ステロイドは腎臓に作用し、赤血球産生を刺激するエリスロポエチンというホルモンを出させるとともに、造血幹細胞に直接作用して増殖を促すと考えられています。

詳しい治療法はこちら(http://www.nanbyou.or.jp/entry/106

経過

発症後早期に的確に治療された場合には、70%以上の患者さんが輸血不要となるまで改善します。ただ、G-CSFを投与しても好中球が0のままで全く増えない劇症例では、早期に骨髄移植を行わなければ感染症のため死亡する確率が高いのが現状です。一部の重症例や、発症後長期間を経過した患者さんは免疫抑制療法に反応しないため、定期的な赤血球・血小板輸血が必要になります。赤血球輸血が度重なると糖尿病・心不全・肝障害などの鉄過剰症の症状が徐々に進行します。
このような輸血による鉄過剰症に対しては、デフェラシロクス(エクジェイド)という経口の除鉄薬が用いられます。これによって鉄過剰症による臓器障害を改善することができます。
免疫抑制療法により改善した再生不良性貧血患者さんの約5%は骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病などの悪性疾患に移行するとされています。特に7番染色体の欠失がある例の予後は非常に悪いことが知られています。このため、血球減少が改善したのちも定期的に血液検査を受け、異常がみられた場合には骨髄染色体検査を受ける必要があります。また、診断時に発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinurai: PNH)でみられるGPIアンカー膜蛋白欠失血球(PNH型血球)が検出された例の5~10%がPNHに移行します。

※難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jpより、許可をいただき掲載しております。