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【欧州】デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬NS-089/NCNP-02、欧州委員会からオーファンドラッグ指定を受理

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は12月21日、日本新薬株式会社と共同で開発を進めてきたアンチセンス核酸医薬品であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬(開発コード:NS-089/NCNP-02)について、欧州委員会からオーファンドラッグ指定を受けたと発表しました。

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、筋肉細胞を支えるジストロフィンタンパク質の欠損により、筋力が低下する進行性の筋ジストロフィーです。NS-089/NCNP-02の投与対象となるのはエクソン44スキッピングにより治療可能な遺伝子変異が確認された患者さんのみです。現在、NS-065/NCNP-01を有効成分としたエクソン53スキップ薬であるビルテプソ点滴静注250mgが条件付き早期承認を取得しておりますが、デュシェンヌ型筋ジストロフィーにはさまざまな遺伝子変異型があるため、別のエクソンを標的とした薬剤の開発が必要となっています。

NS-089/NCNP-02は、モルフォリノ核酸が本来有する高い安全性に加えて、特許出願技術である新規高活性配列探索法を用いて開発した配列連結型のモルフォリノ核酸製剤であり、高いエクソン・スキップ活性を有している世界初のエクソン44スキップ薬です。エクソン・スキップ治療とは、アンチセンス核酸と呼ばれる短いDNA様の合成核酸を用いて、メッセンジャーRNA前駆体から成熟メッセンジャーRNAが作られる過程で、タンパク質に翻訳されるエクソン領域の一部を人為的に取り除く(スキップする)ことで、アミノ酸読み取り枠のずれを修正する治療法です。正常なジストロフィンに比べると、タンパク質の一部が短縮するものの、機能を保ったジストロフィンが発現して筋機能の改善が期待できます。

エクソン・スキップ治療の概念図
画像はリリースより

これまでの非臨床試験の結果から、エクソン44スキップに応答する変異形式のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者細胞における薬効が確認されています。また国立精神・神経医療研究センター病院と鹿児島大学病院で実施した医師主導治験の結果から、ジストロフィンタンパク質の発現が平均15.79%回復したことが認められており、ノース・スター歩行能力評価スコアを含め、運動機能についても維持または改善傾向が示唆されており、NS-089/NCNP-02のデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する治療効果が期待されています。

現在、NS-089/NCNP-02の開発において、本邦では、日本新薬が国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の医師主導治験に参加した6名を対象とした継続投与試験を実施中です。さらに、日本国内を含めた国際共同第Ⅱ相試験を準備中です。米国においては、日本新薬の米国子会社NS Pharma社が実施予定です。今回のオーファンドラッグ指定を受けて、今後、欧州における開発が進む可能性があります。

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は「難病・希少疾患治療剤の開発に引き続き使命感を持って取り組んで参ります」と述べています。

出典
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP) プレスリリース

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