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IgA腎症に対するAPRIL抗体シベプレンリマブのフェーズ2試験の良好な結果がThe New England Journal of Medicineに掲載

大塚製薬株式会社と米・Visterra社は11月6日、新規APRIL抗体であるシベプレンリマブ(開発コードVIS649)のIgA腎症を対象としたフェーズ2試験(ENVISION)の結果が The New England Journal of Medicineに掲載されたと発表しました。

IgA腎症は、糸球体に炎症が起こることにより血尿やタンパク尿が生じる慢性糸球体腎炎の一つです。成人において、腎不全に至る最も一般的な原因であり、標準治療を行った場合でも、20~30%の患者さんは腎不全に移行し、平均余命を10年程度短縮するといわれています。現在の標準治療は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)遮断薬と適切な血圧コントロールに基づくものの、腎不全のリスクは依然として高いことが課題となっています。

シベプレンリマブは、IgA腎症の発症と進行に重要な役割を果たすと考えられている免疫細胞増殖因子であるサイトカインAPRIL(A PRoliferation Inducing Ligand)の作用を阻害するヒト化モノクローナル抗体です。

フェーズ2試験(ENVISION)は、IgA腎症と診断された成人患者さん155人を対象に、シベプレンリマブ2、4、8mg/kgまたはプラセボの毎月静脈内投与群に無作為に割り付けた試験です。主要評価項目は、12ヵ月時点における尿蛋白/クレアチニン比(uPCR)のベースラインからの変化、主な副次評価項目は安全性と腎機能の指標である推算糸球体濾過量(eGFR)の変化でした。

その結果、シベプレンリマブ群は、プラセボ群と比較して尿蛋白/クレアチニン比(uPCR)を有意に減少させました。主要評価項目である12ヵ月後の尿蛋白/クレアチニン比(uPCR)のベースラインからの低下率は、シベプレンリマブ2、4、8mg/kg群それぞれで47.2%、58.8%、62.0%、プラセボ群で20.0%でした。

また、副次評価項目である推算糸球体濾過量(eGFR)の変化においてもシベプレンリマブ群で良好な結果が確認できました。年間の推算糸球体濾過量(eGFR)の変化は、ベプレンリマブ2、4、8mg/kg群それぞれで-2.7、+0.2、-1.5ml/1.73m2、プラセボ群で-7.4ml/1.73m2でした。この結果は、プラセボ群に対してシベプレンリマブ群が推算糸球体濾過量(eGFR)を安定化させたことを反映しています。

Visterra社CEOのBrian J.G Pereira氏は「IgA腎症は原発性糸球体腎炎で最も一般的な病型であり、平均余命の短縮に関連しています。現在の治療では、慢性腎臓病の進行を抑える効果は限られていることから、この新しい疾患特異的な治療が非常に有益なものになることを期待しています」と述べています。

また、大塚ファーマシューティカルD&Cの上級副社長兼医学責任者John Kraus氏は「この複雑で、生命を脅かす疾患であるIgA腎症患者さんのアンメット・メディカル・ニーズへの対応に一歩近づいた今回の結果を大変嬉しく思います。現在進行中のフェーズ3試験において、シベプレンリマブの可能性を引き続き評価していきます」と述べています。

なお、同試験の結果は、2023年11月2日から5日まで米国ペンシルバニア州フィラデルフィアで開催された米国腎臓学会(ASN)でも発表されました。

出典
大塚製薬株式会社 プレスリリース

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