既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する治療薬としてリサンキズマブの適応追加承認を申請
アッヴィ合同会社は9月14日、リサンキズマブ(遺伝子組み換え)(以下、リサンキズマブ)について、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者さんを対象とした、静脈内投与による寛解導入療法および皮下投与による維持療法の治療薬として適応追加承認を申請したと発表しました。
潰瘍性大腸炎は、原因不明の炎症により、大腸の粘膜が傷つき、びらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。慢性的な下痢・血便、腹痛に加え、発熱や貧血などの症状が現れ、寛解と再燃を繰り返します。発症の原因は明らかになっていませんが、免疫の異常が関係しているといわれています。
潰瘍性大腸炎の治療では薬物治療による寛解を目指し、できるだけ長く再燃のない状態を維持することが大切です。従来の生物学的製剤では有効性の発現が遅い患者さんも一部存在することや、継続して投与することによって起こり得る効果の減弱、過敏症反応などを引き起こす可能性もあります。そのため、安全で持続性がある新たな治療選択肢に対するアンメットメディカルニーズが存在しています。
今回の適応追加承認申請は、日本人も参加している複数の第IIb/III相国際共同試験の結果に基づくものです。0週、4週および8週時にリサンキズマブ1200mgの静脈内投与を行う寛解導入療法試験であるINSPIRE試験と、INSPIRE試験で臨床的改善を達成した患者さんを対象に8週間ごとに180mgまたは360mgを皮下投与する維持療法試験であるCOMMAND試験では、対照群と比較してリサンキズマブ群で有意に多くの患者さんが、主要評価項目である臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づき判定)および主な副次評価項目を達成しました。これらの試験において、リサンキズマブの安全性プロファイルは、これまでに確認されているリサンキズマブの安全性プロファイルとおおむね一致しており、安全性に関する新たなリスクは認められませんでした。
なお、リサンキズマブは、IL-23 を選択的に阻害する生物学的製剤であり、日本において2019年3月に既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、2022年9月に中等症から重症のクローン病、2023年5月に中等症から重症の掌蹠膿疱症に対する治療薬として製造販売承認を取得しています。