ファセンラが好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に対する治療薬として承認薬メポリズマブに対する寛解率の非劣勢を示す
アストラゼネカは9月19日、一定用量の免疫抑制療法の併用または非併用下で経口ステロイド(OCS)を投与されている好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者さんを対象とした第III相試験「MANDARA試験」にて、ファセンラ(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え)、以下ファセンラ)が主要評価項目を達成し、EGPAの寛解率においてメポリズマブに対する非劣性を示したと発表しました。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、小型から中型の血管に炎症が起こることにより、肺や皮膚、心臓などのさまざまな臓器障害を引き起こす可能性のある免疫介在性の血管炎です。時間の経過とともに蓄積し、治療を行わなければ死亡に至ることもあります。また、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者さん約半数は、成人発症型の重症好酸球性喘息(SEA)を併発しています。
ファセンラは、好酸球の表面に発現するインターロイキン-5(IL-5)受容体αに直接結合するモノクローナル抗体です。ナチュラルキラー細胞を引き付けて、アポトーシス(プログラム細胞死)を誘導し、ほとんどの患者さんの血液中および組織中の好酸球を直接的に除去することが可能です。
MANDARA試験は、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者さんを対象にファセンラの有効性および安全性について、現在承認されている唯一の治療薬であるメポリズマブと比較した試験です。主要評価項目は、36週時および48週時の両時点において寛解を達成していた患者さんの割合とし、ファセンラがメポリズマブに対して非劣性であることを示すことが目的でした。なお、寛解は、バーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS)が0、かつ経口ステロイド(OCS)の用量が4mg/日以下と定義しました。
同試験の結果、ファセンラの安全性および忍容性プロファイルは、ファセンラの既知のプロファイルと一致しており、主要評価項目である寛解率はメポリズマブに対して非劣勢を示しました。また、MANDARA試験の詳細な結果については、今後の医学学会で発表するとともに、各国の保健当局とデータを共有する予定です。
以上より、アストラゼネカ社のバイオ医薬品開発部門のエグゼクティブバイスプレジデントであるSharon Barr氏は「MANDARA試験の良好な結果は、ファセンラにより、患者さんがこの消耗性の炎症性疾患の寛解を達成することができることを示しています。ファセンラはユニークな作用機序を有し、好酸球を直接標的とする医薬品で、月1回の皮下注射により患者さんの利便性も高くなります」と述べています。
なお、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)におけるファセンラの適応は、日本では未承認です。