炎症性腸疾患の新規治療法として吸収性局所⽌⾎材ピュアスタットの特定臨床試験を世界で初めて実施
群⾺⼤学医学部附属病院は9月8日、炎症性腸疾患の新たな治療⽅法として、アミノ酸を原料とした吸収性局所⽌⾎材「ピュアスタット」による治療を特定臨床試験として世界で初めて実施すると発表しました。
潰瘍性⼤腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こり、下痢や⾎便などの症状が起こる難治性炎症性疾患です。基本的な治療法は、薬の内服や注射ですが、再発や寛解を繰り返すため、生活の質(QOL)を低下させることがあります。また、若年者にも多く発症する疾患であり、多くの患者さんでは、生涯にわたり治療薬の継続が必要とされています。
今回、群⾺⼤学の浦岡教授が考案した新規治療法は、⽣体内に存在するアミノ酸を原料とした吸収性局所⽌⾎材「ピュアスタット」を応⽤した治療法です。 ピュアスタットは、国内において既に薬事承認を得ており、消化器内視鏡治療中の出⾎を⽌めるために使⽤されている止血剤です。
ピュアスタットは臓器を構成する細胞が成⻑するために必要な細胞外マトリックスに類似した構造をしており、がん切除後の障害を受けた組織に塗布することにより障害部位の治癒を促進する効果があることが示唆されています。炎症性腸疾患の動物モデルにおいても有効性が⽰唆されたことから、今回特定臨床研究として有効性と安全性を検証することとなりました。
現在の潰瘍性⼤腸炎の治療は、複数の薬を組み合わせて行われていますが、局所での組織修復を促進させる薬はないため、今回の治療⽅法で有効性と安全性が確認されれば、潰瘍性⼤腸炎の患者さんにとっては⼤きな福⾳となると期待されています。今週、第1例⽬に投与開始されており、次週には第2例⽬にも予定されているそうです。