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多系統萎縮症の運動症状の進行抑制に対する世界初の治療法を開発

東京大学は4月14日、多系統萎縮症に対する多施設共同医師主導治験を行い、高用量のユビキノール服用によって多系統萎縮症の運動症状の進行抑制を支持する結果を世界に先駆けて見出したと発表しました。

多系統萎縮症は、小脳、大脳基底核、自律神経などの変性で発症する神経疾患であり、国の指定難病に認定されています。50代半ばで発症することが多く、発症から約5年で半数が自立歩行困難になるなど、進行性の予後不良な疾患です。現在の治療法は、症状を緩和する対症療法のみであり、病気の症状進行を抑制する治療法は見つかっていません。

研究グループは、多系統萎縮症の家族例・孤発例に対する詳細なゲノム解析から、コエンザイムQ10を合成する酵素のひとつをコードしているCOQ2遺伝子の変異が多系統萎縮の発症と関連することを見出しました。さらに、COQ2遺伝子変異を持つ、家族性の多系統萎縮症患者さんに対するコエンザイムQ10補充により脳の酸素代謝率が改善すること、COQ2遺伝子の変異がない患者さんにおいても血中のコエンザイムQ10量が低下していることを示してきました。これらの研究結果を基に、高用量の還元型コエンザイムQ10(ユビキノール)が多系統萎縮症の患者さんの治療に有効ではないかと考え、これまで治療法の開発を行ってきました。

今回の第2相医師主導治験は、多系統萎縮症に対する高用量のユビキノールの安全性と有効性を示すことを目的に2018年より実施され、国内の13施設から、合計139人の患者さんが参加しました。今回の治験の結果、主要評価項目として設定された運動症状の程度を表す「統一多系統萎縮症評価スケール・パート2スコア」の0週から48週までの平均変化量において、ユビキノール群がプラセボ群に対して有意差を認め、多系統萎縮症の運動症状の進行抑制を示唆しました。

なお、治験薬との因果関係が否定できない有害事象の出現頻度は、ユビキノール群が23.8%、プラセボ群が30.9%と同程度でした。

東京大学はプレスリリースにて「これまで、様々な治療法が多系統萎縮症に対して試みられてきましたが、有効性を示す結果を得た研究は存在しませんでした。従って、今回の治験の対象となった患者群で多系統萎縮症の運動症状の進行抑制を支持する結果を初めて見出した先駆的な研究と言えます」と述べています。

この研究成果は、英国誌「eClinicalMedicine」オンライン版に4月14日付で掲載されています。

出典
東京大学 プレスリリース

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