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潰瘍性大腸炎を対象とした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」が先進医療Bとして承認、2023年1月より実施

順天堂大学とメタジェンセラピューティクス株式会社は1月4日、共同研究講座を設置し、研究を進めている「活動期潰瘍性大腸炎患者を対象とする抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」について、順天堂大学医学部附属順天堂医院が先進医療Bとして厚生労働省へ届け出を行い、承認を取得したと発表しました。

抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法(Antibiotic Fecal Microbiota Transplantation療法、以下A-FMT療法)は、患者さんの乱れた腸内環境を改善するために、アモキシシリン、ホスホマイシン、メトロニダゾールという3種類の抗菌薬を用いて、患者さんの腸内細菌叢をリセットした後、健康なドナーの便から作成した腸内細菌叢溶液を内視鏡により注入。バランスのとれた腸内細菌叢を構築する技術です。

画像はリリースより

潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸の粘膜に炎症が起きることにより、びらんや潰瘍ができる炎症性疾患。主に、下痢や血便、腹痛、発熱、貧血などの症状が起こり、患者さんのQOL(生活の質)に影響を及ぼします。国内で最も患者数の多い指定難病であり、患者数は日本国内で約20万人以上といわれています。潰瘍性大腸炎は、腸内細菌叢の乱れが発症の原因や憎悪の一因であると判明しつつあります。

腸内細菌叢移植は、感染性腸炎に対する治療法として欧米で実用化されており、潰瘍性大腸炎についても副作用の少ない治療法として近年注目されています。順天堂大学では、潰瘍性大腸炎に対するA-FMT療法の臨床研究として、2014年6月に研究を開始。2022年12月までに210名以上の潰瘍性大腸炎患者さんと、160名以上の便ドナーが参加しています。

順天堂大学はプレスリリースにて「今後は先進医療として本医療技術の有効性や安全性を検討し、標準治療化を目指して研究を進めて参ります」と述べています。なお、同先進医療は2023年1月より順天堂大学医学部附属順天堂医院で開始されるそうです。

出典
順天堂大学 プレスリリース

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